研究概要 |
ラットにおける高血圧素因遺伝子座位SA(染色体1番)が、ヒトにおいても高血圧症の素因となりうるのか否かを検討した。同時に、レニン、アンジオテンシン系の遺伝子変異と循環器疾患の関連の有無も検討した。 1.SA遺伝子とヒト高血圧症 ヒトSAcDNAの構造を決定し、染色体16p13-11に遺伝子が存在すること、及び、Pst Iによる、restriction fragment length Poly-morphismがあることを決定した。このPst IによるRLFPと高血圧の関連を、association studyにより調べたが、monor alleleの出現頻度が著名に高血圧群で高く、この遺伝子座位に高血圧素因遺伝子のあることが推測された。共同研究者である、オーストラリアのDr.B.Morrisらの検討によると、肥満を伴う高血圧症で特に、SA Pst I minor alleleの出現頻度が高井とのことであり、検討中である。 2.Angiotensinogen(AGT)遺伝子M235T変異と高血圧症の関連 比較的若年(50歳以下)で発症した。高血圧では、確かにT235の関与が大きいが、50歳以上で発症した高血圧では、肥満、高コレステロール血症の関与が大きいことがわかった。 3.Angiotensin I converting enzyme(ACE)DD型と心疾患の関連 ACE DD型、虚血性心疾患の素因との報告が、相次ぎ、高血圧性合併症とこの遺伝型との関連が示唆されるところである。そこで、高血圧性合併症の代表として、心肥大とこの遺伝型の関連を調べた。その結果、心重量の規定因子として重要なものは、血圧、Body mass Index,このACEの遺伝型、及び性であることがわかり、確かに、ACE DD型が心肥大の危険因子であることが、証明された。ACE DD型のヒトで心筋梗塞後、左室拡大を生じる率が高いこともみられた。
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