研究課題/領域番号 |
05454272
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
井上 通敏 大阪大学, 医学部・附属病院, 教授 (30028401)
|
研究分担者 |
佐藤 洋 大阪大学, 医学部・附属病院, 医員
北風 政史 大阪大学, 医学部・附属病院, 医員
楠岡 英雄 大阪大学, 医学部, 助教授 (00112011)
葛谷 恒彦 大阪大学, 医学部, 助教授 (80150340)
堀 正二 大阪大学, 医学部, 助手 (20124779)
|
キーワード | 虚血・再潅流障害 / ischemic preconditioning / α_1アドレナリン受容体 / アデノシン / 5'-nucleotidase |
研究概要 |
近年、先行する短時間虚血により長時間虚血後の心筋壊死が縮小する現象がischemic preconditioningとして報告されている。そこで、このischemic preconditioningの作動メカニズムを解明するためアデノシン産生量・アデノシン産生酵素活性を測定することにより検討した。 1)ischemic preconditioningにおけるアデノシンの役割を検討するため、5分間のLAD結紮を4回繰り返し、ischemic preconditioning(IP)を作成し、90分虚血再潅流によるアデノシン産生量及び5'-nucleolidase活性を測定し、対照群と比較した。その結果、IPにより心筋5'-nucleotidase活性は2倍近く増加し、アデノシン産生量も増大した。このときectosolic5'-nucleotidase阻害剤(AOPCP)投与にて、ischemic preconditioningの心筋壊死縮小効果が消失した。以上より、ischemic preconditioningにより活性化されたectosolic 5'-nucleotisaseが心筋壊死縮小効果を規定することが示された。 2)虚血でアデノシン産生量、5'-nucleotidase活性を増加させる因子としてα_1アドレナリン受容体刺激が報告されている。そこで、IPがα_1受容体刺激を介して作動しているか否かをα_1受容体遮断剤であるprazosin投与下に検討した。prazosin投与によりIPによる5'-nucleotidase活性化は抑制された。さらに、メトキサミン投与にて、IPと同程度の5'-nucleotidase活性増加が生じ、このとき梗塞サイズ縮小効果が認められた。またAOPCPをメトキサミンと同時に投与すると、その壊死縮小効果は消失した。以上の結果より、ischemic preconditioningの心筋壊死縮小効果はα_1アドレナリン受容体刺激を介した、ectosolic 5'-nucleotisaseの活性化・アデノシン産生量増大が重要な役割を果たすものと考えられた。
|