研究課題/領域番号 |
05454276
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研究機関 | 慶応義塾大学 |
研究代表者 |
小川 聡 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (90124940)
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研究分担者 |
赤石 誠 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (90150961)
山口 佳寿博 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (30129712)
三田村 秀雄 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (70129675)
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キーワード | 宇宙 / 微小重力 / 体循環 / 冠循環 / 肺循環 / 換気・血流比分布 / EDRF |
研究概要 |
【目的】宇宙での微小重力環境、ならびに宇宙ロケット打ち上げ時及び地球への帰還時の加重環境が心・肺循環動態調節機構に対して如何なる影響を与えるかに関しては十分なる検討がなされていない。本研究においては宇宙飛行士が遭遇すると予想される種々の環境変化において心・肺循環動態の調節機構がどの様に変化・破綻するかを模擬的実験条件下で明らかにすることを試みた。平成5年度においては実験目的を達成するのに必要な実験モデルの作成、予備実験ならびに機器の開発を施行した。【方法】1).体循環・冠循環・肺循環動態解析のための慢性犬モデルの作成:ビーグル犬を開胸し、冠動脈左前下行枝にドプラー血流計ならびにカフォクルーダを装着した。下大静脈にカフォクルーダ、大動脈にドプラー血流計を装着し、左心室心尖部よりコンダンクタンス・カテーテルと左室圧測定用のカテ先マノメータを挿入した。右房から肺動脈カテーテルを留置し、左鎖骨下動脈より大動脈へ動脈圧測定用のカテ先マノメータを挿入した。全ての導線を背部より体外に出し閉胸した後動物を覚醒させた。2).肺循環・ガス交換動態解析のための質量分析の開発:肺内換気・血流比分布をreal timeで計測するための質量分析計を開発した。質量分析計による血中不活性ガス濃度の測定に必要な高感度血液プローベを試作した。3).血管内皮細胞由来の血管弛緩因子(EDRF)の血中濃度を分光光度法を用いて測定することを試みた。【結果】1).軽麻酔下で慢性犬をいわゆる“head down"位に保ち微小重力疑似環境におくと体循環・冠循環、肺循環諸指標が少なからず変化することが判明した。2).肺内換気・・血流比不均等分布の程度は微小重力疑似環境下で有意に低下した。3).微小重力環境下では肺動脈血ならびに左室内血液のEDRF光度が有意に変化する傾向を示した。
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