研究課題/領域番号 |
05454277
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研究機関 | 大阪医科大学 |
研究代表者 |
河村 慧四郎 大阪医科大学, 医学部, 教授 (00026832)
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研究分担者 |
出口 寛文 大阪医科大学, 医学部, 講師 (90131341)
北浦 泰 大阪医科大学, 医学部, 講師 (50084950)
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キーワード | エンテロウイルス / 拡張型心筋症 / in situ PCR法 / PCR-SSCP法 |
研究概要 |
本症患者の生検心筋よりPCR法によりしばしばエンテロウイルスゲノムが検出され、申請者らも同様の成績を得た。しかし、通常のin situ hybridization(ISH)法では感度が低くウイルスの検出が困難なため局在が明らかでなく、またエンテロウイルスの種類も判明していない。本症の病因解明のためには、ウイルスの心筋における局在と種類を明らかにすることが急務である。そこで、 1.コクサッキーB3ウイルス感染マウス心筋について、ISHより感度の高いin situ PCR法を用いてウイルスゲノムの局在を検索した。また、患者生検心筋への応用を試みた。 2.一本鎖DNA高次構造多型-PCR(PCR-SSCP)法によりウイルスの種、型の鑑別を試みた。 結果は、 1.5^1側非翻訳領域の一部を増幅するin situ PCR法で、コクサッキーB3ウイルス性心筋炎マウスの第14日まで、心筋にウイルスが検出された。この成績は通常のISH法とほぼ同様である。 2.PCR-SSCP法によりコクサッキーB1-6、コクサッキーA7、9、ポリオ1-3、エコー7、9、11、21ウイルスなど14のエンテロウイルスの種、型鑑別を試みた。ウイルスの種・型により高い再現性をもってそれぞれ一定の異なる泳動像を示し、鑑別が可能なことを確認した。そこで、本法を臨床に応用し、拡張型心筋症、心筋炎を含む55症例の心疾患患者の生検心筋、一部心膜液についてウイルスゲノムの検出と鑑別を行った。13例が陽性であった。しかし、生検心筋より検出された10例はコクサッキーB群ウイルスを含む14種のどのウイルスとも一致しなかった。一方、心膜液などの3例のうち1例はコクサッキーB1ウイルスと考えられた。 In situ PCR法によるエンテロウイルスゲノムの検出は感度が低く、本症患者の生検心筋に応用するには、なお改良が必要である。一方、PCR-SSCP法によるエンテロウイルスの種、型鑑別は14種についてすでに可能で、本症患者心筋からはコクサッキーB群ウイルスは検出されなかった。したがって、拡張型心筋症患者および心筋炎患者心筋に検出されるエンテロウイルスゲノムは、これら以外のウイルスかこれらの変異株と考えられる。
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