研究課題/領域番号 |
05454297
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
福田 寛 東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (30125645)
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研究分担者 |
井戸 達雄 東北大学, サイクロトロンラジオアイソトープセンター, 教授 (80134063)
伊藤 正敏 東北大学, サイクロトロンラジオアイソトープセンター, 助教授 (00125501)
入江 俊章 東北大学, 放射線医学総合研究所・障害・臨床研究部, 主任研究官 (40160072)
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キーワード | 痴呆 / ポジトロンCT / 脳神経受容体 / アセチルコリン受容体 / アセチルコリンエステレース |
研究概要 |
1)脳ムスカリニックアセチルコリン受容体に特異的に結合するリガンド、[N-^<11>C-メチル]-ベンゾトロピンの標識合成法を確立した。次いで、このリガンドの有効性と結合能定量法の開発を目的として、わが国では初めて健常人ボランテイア5例で臨床応用を行った。 370-740MBqのトレーサ静注直後から90分後までPETによる連続スキャンを行った。投与一時間後の脳内放射能の相対的分布では、後頭葉、線条体で最も高く、次いで前頭葉、側頭葉などの皮質、視床がこれに次ぎ、小脳は最も低い値を示した。この分布は従来知られている受容体密度分布とほぼ相関している。血液中の代謝産物の分析では、静注30分後で85%が未変化体として存在しており、このトレーサが比較的代謝されにくいことを示している。連続脳画像と血液中の未変化リガンドの放射能とを用いて、グラフ解析法(パトラック法)あるいはコンパートメント解析による定量法についても現在検討中である。 2)中枢コリン神経のマーカー酵素であるアセチルコリンエステラーゼ(AchE)活性のPETによる画像化を目的として、脳内での代謝変換捕捉型のAchE人工基質としてN-メチル-3-ピペジルエステルとN-メチル-4-ピペジルエステルを分子設計した。次いで、^<14>C-ヨー化メチルを用いてこれらの化合物の^<14>C-標識化を達成した。これらのトレーサはいずれも、高いBBBの透過性を有し、速やかに脳内に移行して、そこで酵素的代謝を受け脳内に捕捉されることがマウスで確かめられた。また、目的とするAchEに対して80%以上の反応特異性を有していた。今後、脳内放射能とAchE活性との相関についての検討、及びこの化合物の^<11>C-標識化について検討を行う。
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