研究分担者 |
中島 孝 群馬大学, 医学部, 教授 (20124422)
山川 通隆 群馬大学, 医学部, 講師 (40182414)
斉藤 吉弘 群馬大学, 医学部, 助手 (50170543)
早川 和重 群馬大学, 医学部, 講師 (70114189)
三橋 紀夫 群馬大学, 医学部, 助教授 (20008585)
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研究概要 |
当科で放射線療法を主体とした非観血的療法での非小細胞肺癌III期症例の5年生存率は10%強であった.扁平上皮癌では,2年・5年生存率が26%・14%であったが,腺癌・大細胞癌では16%・3%と低かった.低分化型の腺癌と大細胞癌で長期生存するものは例外的であるが、扁平上皮癌では,分化度の差異による差異はなかった.2年以上無病生存した症例を追跡すると,扁平上皮癌では,79%が5年生存したのに対して,腺癌では,17%にすぎなっかた.このことは,腺癌での長期生存は,腫瘍の自然史に依存している可能性が高いことを示唆するものであった.すなわち放射線治療のよい対象となるのは扁平上皮癌であるといえる.したがって放射線治療開始前に,組織診断を確定することは極めて重要であるが,必ずしも断定的な診断ができるとはかぎらない.これらの症例にたいしては,画像診断とくに腫瘍シンチグラフィや腫瘍マーカーの血中濃度の測定は補助的診断として有用なことがあった.照射効果については,アポトーシスに注目して,ヌードマウス可移植ヒト腫瘍を用いて組織型と増殖速度との関係を検討し,増殖の旺盛な腫瘍ではアポトーシスが多いことを確認した.臨床的な予後因子として重要なものは,(1)宿主の条件としては,一般状態がPS-1以下であること,(2)腫瘍の条件としては,N3でないこと,悪性胸水がないこと,腫瘍径が5cm以下であること,発症部位が上・中葉,下葉上区であること,(3)放射線治療の条件としては,40Gy以上の照射野が100cm^2を超えないこと,などであった.なお,扁平上皮癌の至適線量は60〜70Gyの範囲に存在すると考えられる.
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