研究概要 |
1)基礎的検討: (a)家兎大腿外側に移植されたVx-2腫瘍のTAGMED-434システム,マイクロ波加温装置を用いた加温方法の検討:中型Box型表在加温用アプリケーターを使用して,アプリケーター下部と腫瘍大腿部を金属メッシュで囲むことにより,比較的均一な充分な加温が得られることが判明。アプリケーター近位部の腫瘍部に比較して,腫瘍の深部である遠位部は、約30分程遅れて、所定の加温々度に達することが出来る。 (b)ヒト腫瘍の大きさに近い,家兎Vx-2腫瘍に対する放射線,温熱療法の併用の検討:放射線・温熱・免疫療法3者併用実験群に対するコントロール対照群として先づ検討された。放射線(X-線)700cGy照射後30分〜1時間以内に,上記加温方法で43℃1時間の加温,これを1週間々隔で3回くり返した。腫瘍の発育はよく抑制され,放射線単独群は腫瘍が増大,全例腫瘍死したが,温熱併用群は,腫瘍が増大せず、横ばい状態を示し,これまで検討してきた,放射線,血流改善剤,放射線増感剤3者併用の場合とほゞ同等の効果を示したが,腫瘍の消失するものはなかった。この実験群を対照群として、放射線・温熱・免疫の3者併用の効果を定量的に次年度より検討する。 2)臨床的検討: (a)ピシバニール(OK-432)免疫療法(皮内感作)施行時における,末梢血中の細胞免疫系の変動,特にγδ-T細胞の変動について検討:主として再発乳癌患者および少数ではあるが膵癌、肝癌患者で,免疫療法開始前は,γδ-T細胞は1〜2%から10%未満の分布を示し、免疫療法と共に増加する症例もみられ,増加した症例では7〜8%から15%未満の分布を示した。 (b)再発乳癌の放射線,温熱,免疫療法併用症例では,OK-IA1(HLA-OR)値の上昇と共にγδ-T細胞の増加がみられる症例があり,照射線量に比して,腫瘍の縮少傾向が早期より出現,壊死形成の促進が観察されている。多数の症例を集積しないと,必ずしもこの療法の優劣は判定できないが,期待し得る方法であると考えられている。
|