研究課題/領域番号 |
05454301
|
研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
酒井 邦夫 新潟大学, 医学部, 教授 (20018378)
|
研究分担者 |
大久保 真樹 新潟大学, 医療短大, 助手 (10203738)
樋口 正一 新潟大学, 医学部・附属病院, 助手 (80208751)
末山 博男 新潟大学, 医学部・附属病院, 講師 (80115039)
小田 純一 新潟大学, 医学部・附属病院, 講師 (20152499)
藤田 勝三 新潟大学, 医療短大, 助教授 (90080100)
|
キーワード | 放射線治療 / 放射線・薬剤同時併用 / 5‐FU / CDDP / 食道癌 |
研究概要 |
基礎的研究においては、培養細胞(FM3A)に対するCDDP(Cisdiaminedichloroplatinum)の殺細胞効果をコロニー法で検討した結果、濃度依存性と同時に、著明な時間依存性を示すことが確認された。時間依存性についてみると、0.5μg/mlの濃度で処理する場合、1時間処理の細胞生存率0.75に比し、24時間処理では0.03となり、後者では前者に比較して25倍の殺細胞効果が認められた。CDDP(0.1μg/ml)と5‐FU(0.5μg/ml)の同時処理を行うと、それぞれの単独効果の和以上の効果(相乗効果)が認められた。またCDDPと5‐FUの同時処理開始直後に2Gy照射する場合、薬剤処理時間が長いほど、薬剤と放射線の相乗効果が強く認められた。これらの実験結果は、5‐FUとCDDPの長時間処理と放射線の同時併用により、5‐FU単剤と放射線の同時併用よりも強い相乗効果が得られることを示唆する。 臨床的研究においては、前年度に引き続いて手術不能食道癌を対象に、5‐FU少量長期持続静注(300mg/m^2/24時間)と放射線の同時併用療法を多施設共同研究として実施した。登録されたMO食道癌29例のうち、60Gy以上の照射と5週以上にわたる5‐FU同時併用が完遂できたものは24例(治療完遂率83%)であった。コントロールの放射線単独治療群の完遂率78%と同等であることから、十分にfeasibleな治療法であると考えられた。局所非再燃に関する多変量解析の結果、治療法とT因子に有意差が認められ、log‐rank検定により同時併用群の局所非再燃率がコントロール群に比し有意に高いという結果が得られた。生存率に関する多変量解析においても、年齢、病巣長、N因子とともに治療法が有意な因子として検出された。以上の結果より、5‐FU少量長期持続静注と放射線の同時併用療法は、局所制御率を向上させ、生存率の向上も期待できる有用な治療法であると考えられた。
|