研究課題/領域番号 |
05454310
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
精神神経科学
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
融 道男 東京医科歯科大学, 医学部, 教授 (20013972)
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研究分担者 |
渡辺 明子 東京医科歯科大学, 医学部, 技官 (40210992)
車地 曉生 東京医科歯科大学, 医学部, 助手 (00251504)
渋谷 治男 東京医科歯科大学, 医学部, 助教授 (10158959)
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研究期間 (年度) |
1993 – 1994
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キーワード | 精神分裂病 / ドーパミンD2受容体 / ドーパミンD2受容体遺伝子 / S311C変異 / 陰性症状 |
研究概要 |
この研究では、精神分裂病の発症や経過をドーパミン受容体遺伝子(DRD2)の異常から解明することを試みた。われわれが1993年に見出だしたDRD2の311番目のアミノ酸の置換(Ser→Cys)について関連研究を行った。最初は156名の分裂病と300名の対照者について調べたが、分裂病の中に14名(9%)、対照中には11名(3、7%)がCys311型を保有していることが分かった。この差はp<0、01で有意であった。Manchesterスケールを用いて精神症状を評価したところ、Cys変異を保有する分裂病患者は野生型に比し、幻覚や妄想などの陽性症状の程度には差はなかったが、感情の平板化、精神運動減退などの陰性症状の程度は有意に軽いことが明らかとなった。そこで分裂病の症例数を292名に、対照の例数を579名に増加し、Cys変異の保有率を調べたところ、分裂病では26名(8、9%)、対照では24名(4、1%)であり、分裂病の保有率が有意に(p<0、01)高かった。Manchesterスケールにより陰性症状を評価し、その有無で患者を2群に分けると、陰性症状のない群82名中Cys変異を持つ者は14名(17、1%)で対照より有意に(p<0、00001)高かった。分裂病の亜型では、変異保有者は妄想型に多く、解体型に少ない傾向があった。Bleulerの経過類型で検討すると、単純経過で直線的に荒廃する患者は有意に少なかった。以上の点より、DRD2に見出されたCys変異は、発病の危険因子というより、分裂病の経過を装飾するもので、抗精神薬に対する反応性を高めているように思われた。この変異の機能的意義を明らかにするために、DRD2SのcDNAのCys311型と野生型を、COS-7およびCHO細胞に発現させ、3H-スピペロン結合に対するドーパミンアゴニスト、アンタゴニストの阻害作用などについて検討中である。
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