TGF-βファミリーによる内分泌腺の局所制御

1993 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 05454315
• 研究機関: 群馬大学
• 研究代表者: 小島 至 群馬大学, 内分泌研究所, 教授 (60143492)
• 研究分担者: 柴田 宏 群馬大学, 内分泌研究所, 講師 (20235584)
• キーワード: TGF-β / アクチビンA / パラクリン機構 / オートクリン機構 / 局所因子 / 分化誘導因子 / 増殖因子

研究概要

本研究はTGF-βやアクチビンAなどTGF-βスーパーファミリーに属する活性因子が内分泌腺の局所でどの様な調節を行っているかを明かにすることを目的としている。本年度は主として膵ラ氏島においてこれらの活性因子がどの様な作用をもたらすか、またその発現の変化についても検討を行った。
(1)膵ラ氏島におけるアクチビンA、TGF-βの作用
既にアクチビンAやTGF-βが膵ラ氏島β細胞に作用してインスリン分泌を促進することを報告してきた。今回その作用をさらに詳細に検討すると共にその作用機構の解析を行った。アクチビンA及びTGF-βはいずれも閾値以下の低濃度グルコース存在下に二相性のインスリン分泌を惹起しそのパターンはグルコースによる分泌パターンと類似していた。さらに両者はβ細胞内のカルシウム濃度を増加させ、それは細胞外からのカルシウム流入の増加によった。
(2)膵ラ氏島におけるアクチビンAの発現
既にアクチビンAが膵ラ氏島のα及びδ細胞に存在することを報告してきた。この分布はきわめて特異であるが両細胞が共通の前駆細胞に由来することを考えると興味深い。そこで発生途上でのアクチビンAを発現を免疫組織化学法により検討した。その結果アクチビンAは胎性12日の膵内分泌腺細胞の出現と共に膵ラ氏島原基に発現していることが明らかになった。

研究成果

• [文献書誌] Kojima,I.,Mogami,H.,Kawamura,N.and Shibata,H.: "Activin A inhibits cell-cycle progression induced by insulin-like growth factor-I" J.Endocrinol.137. 99-105 (1993)
• [文献書誌] Kojima,I.,Mogami,H.,Shibata,H.and Ogata,E.: "Role of calcium entry and protein kinase C in the progression activity of insulin-like growth factor-I" J.Biol.Chem.268. 1003-1006 (1993)
• [文献書誌] Kojima,I.,Mogami,H.,Kawamura,N.,Yasuda,H.and Shibata,H.: "Modulation of growth of vascular smooth muscle cells by activin A" Exp.Cell.Res.206. 152-156 (1993)
• [文献書誌] Yasuda,H.,Mine,T.,Shibata,H.,Takeuchi,T.and Kojima,I.: "Activin A:an autocrine inhibitor of initiation of DNA Synthesis in rat hepatocytes." J.Clin.Invest.92. 1491-1496 (1993)
• [文献書誌] Yasuda,H.,Inoue,K.,Shibata,H.,Takeuchi,T.and Kojima,I.: "Existnce of activin A in A- and D-cells of rat pancreatic islet" Endocrinology. 133. 624-630 (1993)
• [文献書誌] Shibata,H.,Yasuda,H.,Sekine,N.,Mine,T.and Kojima,I.: "Activin A increases cytoplasmic free calcium in rat pancreatic islet" FEBS Lett.329. 194-198 (1993)