血管内皮細胞におけるアルドステロンの産生とその調節因子に関する研究

1994 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 05454318
• 研究機関: 金沢大学
• 研究代表者: 宮森 勇 金沢大学, 医学部, 助教授 (40142278)
• 研究分担者: 武田 仁勇 金沢大学, 医療技術短期大学部, 講師 (90242544)
• キーワード: アルドステロン / アンジオテンシン / 血管内皮細胞

研究概要

我々は、これまで副腎外組織である血管壁におけるアルドステロンの産生をラットかん流実験において証明してきた。本年度の研究においては更に血管内皮細胞を用い、局所アルドステロン産生の分子生物学的証明と産生調節因子について検討した。その結果、培養血管内皮細胞においてP450aldo mRNAの発現を検出することができた(Hatakeyama et al.JBC 269:24316,1994)。その産生量は副腎に比べて極めて少ないが、autocrine/paracrineとして生理作用を発揮していると考えられた。我々は更にこの様な副腎外組織におけるステロイド産生の生理的意義、病態形成に果たす役割についても検討を重ね、ヒト肺動脈培養細胞系において既知のアンジオテンシンIIによる平滑筋細胞増殖作用に対し促進的に働くことを新たに見いだした。この様な概念は世界に先駆けた画期的かつ独創的なものでありVascular aldosterone systemと命名された。局所的に産生されるステロイドがこの様な薬理効果に関与する可能性に関しても興味深い知見であり今後、更に発展するものと考えられる。本研究における実験経費は主として遺伝子実験関連試薬、実剣豪物、分析用カラム等の購入に充てられ、効率的に運用できた。既存の設備(GC-MS、SchimazQP1000)を十分活用し得たものと考える。

研究成果

• [文献書誌] H.Hatakeyama: "Vascular aldosterone:Biosynthesis and a link to angiotensin II-induced hypertrophy of vascular smooth muscle cells." J.Biol.Chem. 269. 24316-24320 (1994)
• [文献書誌] K.Iki.: "The activities of 5β-reductase and 11β-hydroxysteroid dehy-drogenase in essential hypertension." Steroids. 59. 656-660 (1994)
• [文献書誌] Y.Takeda: "Production of aldosterone in isolated rat blood vessels." Hypertension. 25. 170-173 (1994)
• [文献書誌] Y.Takeda: "Gene Expression of 11β-hydroxysteroid dehydrogenase in the mesenteric arteries of genetically hypertensive rats." Hypertension. 23. 577-580 (1994)
• [文献書誌] Y.Takeda: "Biosynthetic pathway of 19-noraldosterone in isolated rat glomerulosa cells." J.Steroed Biochem Mol Med. 49. 69-71 (1994)
• [文献書誌] Y.Takeda: "Decreased activity of 11b-hydroxysteroid dehydrogenase in mesenteric arteries of Dahl-salt sensitive rats." LIfe Sciences. 54. 1343-1349 (1994)
• [文献書誌] I.Miyamori: "Inhibition of the renin angiotensin system." Cardiner-Caldwell Comm., 3 (1993)