研究課題/領域番号 |
05454323
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
板倉 光夫 徳島大学, 医学部, 教授 (60134227)
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研究分担者 |
宮崎 純一 東京大学, 医学部, 教授 (10200156)
姫野 國祐 徳島大学, 医学部, 教授 (50112339)
吉本 勝彦 徳島大学, 医学部, 助教授 (90201863)
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キーワード | 遺伝子治療 / 糖尿病 / I型糖尿病 / サイトカイン / 膵ランゲルハンス島 / トランスジェニックマウス / リンパ球 / IL-10 |
研究概要 |
サイトカインは、分泌局所で種々の標的細胞に作用し、多様な作用を発揮する。I型糖尿病(IDDM)では、Th0、Th1、Th2等のヘルパーT細胞と、種々のサイトカインの作用により、自己免疫応答が惹起される。IL-10は、in vitroでマクロファージ、Th0、Th1のIFN-γ等の合成と分泌を抑制し、IDDM発症にはT細胞やマクロファージが主体をなすと考えると、IL-10はIDDM発症を抑制する可能性がある。一方、IL-10がMHC Class IIや接着分子の発現を誘導すること、Th1が主体をなす寄生虫に対する免疫反応の初期にIL-10が誘導されること、細胞障害性Tリンパ球からIFNγとIL-10が分泌されること等からは、IL-10はIDDMを激症化させる可能性がある。そこで、膵ランゲルハンス島(ラ島)B細胞自体には何等遺伝子操作を加えずに膵ラ島A細胞からIL-10を傍分泌するTg(IL-10Tg)を用いて、NODマウスの膵ラ島B細胞の自己免疫破壊に及ぼすIL-10の影響を検討した。 rat glucagon promoter/マウスIL-10 cDNAの融合コンストラクトを作成し、これをNODマウスの受精卵に注入し、雄4、雌7を含む11匹のIL-10Tgを作成した。この内、雄4/4匹、雌3/7匹が、通常糖尿病を発症しない10週齢以前に明かな糖尿病を発症し、膵ラ島へのリンパ球浸潤、外分泌組織の腺管様変化、同週齢のNODマウスでは観察されない肺、肝等へのリンパ球浸潤を認めた。一方、in vitroでIL-10は膵ラ島AおよびB細胞株に対して直接障害性、ないしはインスリン分泌に対して影響を与えなかった。以上より、病態局所に発現したIL-10は、in vivoで炎症を促進させ、自己抗原に対する免疫応答を惹起させ、IDDMの発症を促進させた。将来的に、膵ラ島B細胞の抗原を認識するリンパ球にサイトカイン遺伝子を導入発現させ、これらを養子移入するか、膵ラ島細胞特異的なプロモーターを有するベクターの導入等により、膵ラ島B細胞の局所のサイトカイン濃度を変える糖尿病の遺伝子治療の原理が可能と考えられる。
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