研究概要 |
平成5年度までの研究で次の知見を得た。【.encircled1.】多数の肝細胞癌患者を対象にエンドセリンの血中動態を検討した結果,大半の患者で血漿エンドセリン濃度が有意に上昇しており,そのレベルは臨床的な治療経過とよく平行すること,肝細胞癌患者の血漿エンドセリン・レベルには肝動静脈較差が存在すること,これらの患者から剖検で得られた肝細胞癌組織の腫瘍細胞内にはエンドセリンの免疫活性が認められ、非腫瘍細胞とは明らかな相違を示すことを明らかにした。【.encircled2.】次に,6種類の肝細胞癌株についてNorthern blottingを行って調べたとろ,少なくとも複数の細胞に,プロエンドセリンのmRNAが証明された。【.encircled3.】これらプロエンドセリンmRNAが証明された細胞株では,細胞内にエンドセリンの免疫活性が認められ,正常肝細胞と明らかな差異を示すことが明らかになった。【.encircled4.】肝細胞癌をin vitroで培養し,培養液あるいは培養細胞抽出液を直接調べた結果,エンドセリンが産生・分泌されていることが明らかになった。【.encircled5.】肝細胞癌を細胞培養し,その培養能をclonogenic assayで調べてみたところ,エンドセリンの添加が用量依存的に増殖を促進すること,エンドセリンの拮抗薬やエンドセリンのモノクローナル抗体がエンドセリンのこの効果をブロックするばかりでなく,エンドセリン無添加の肝細胞癌の増殖も抑制することを明らかにした。
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