研究課題/領域番号 |
05454328
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
平井 久丸 東京大学, 医学部(病), 講師 (90181130)
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研究分担者 |
田中 智之 東京大学, 医学部(病), 医員
花園 豊 東京大学, 医学部(病), 助手 (70251246)
三谷 絹子 東京大学, 医学部(病), 助手 (50251244)
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キーワード | 転座型白血病 / 慢性骨髄性白血病 / 急性転化 / t(3;21)転座 / AML1 / EVI-1キメラ遺伝子 / 転写因子 |
研究概要 |
慢性骨髄性白血病(CML)の急性転化時に出現する付加的染色体異常の中で、t(3;21)(q26;q22)は相互転座であることが特異的である。我々は、この染色体異常をモデルとして転座型白血病の発症機構の遺伝子解析を行い、臨床診断への応用を試みた。 t(3;21)転座を分子生物学的に解析した結果、AML1/EVI-1キメラ遺伝子が形成され、これは融合mRNAへと転写されることが明らかになった。融合mRNAは8.2kbと7.0kbの主に2種類存在した。t(3;21)転座を有するヒト白血病細胞株SKH1より作成したcDNAライブラリーをスクリーニングし、全長と考えられる2つの約6kbのcDNAクローンを得た。これらのcDNAクローンは1つのopen reading frameを持ち、5'側に正常AML1シークエンス、3'側に第2エクソンからpoly(A)tailに至るEVI-1シークエンスを含んでいた。AML1およびEVI-1に対するポリクローナル抗体はSKH1細胞において同じ180kDのAML1/EVI-1融合蛋白質を認識した。この融合蛋白質はrunt homology domainを含むAML1のN端側とzinc finger typeの転写因子であるEVI-1の全長より構成されていた。このAML1/EVI-1 fusionの形成はRT-PCRで検討したt(3;21)転座を有する3症例で共通であった。さらに多くの症例を用いた解析が必要であるが、この結果はt(3;21)転座型白血病の遺伝子診断への臨床応用が可能であることを示している。AML1あるいはEVI-1の転写開始部位に位置する20-merのアンチセンスオリゴヌクレオチドはSKH1細胞における^3H-thymidineの取り込みを著明に抑制することから、AML1/EVI-1融合蛋白質はt(3;21)転座を有する白血病細胞の増殖に重要であると考えられた。以上の結果より、t(3;21)転座の結果新しいタイプのキメラ型転写因子が形成され、これがCML急性転化に関与している可能性が示唆された。
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