研究課題/領域番号 |
05454332
|
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
河野 道生 広島大学, 医学部・附属病院, 講師 (40161343)
|
研究分担者 |
藏本 淳 広島大学, 原爆放射能医学研究所, 教授 (50034070)
|
キーワード | 骨髄腫 / 前駆細胞 / 形質細胞分化 / インターロイキン6 / 骨髄ストローマ細胞 / ソーティング / 未熟骨髄腫細胞 / 接着分子 |
研究概要 |
骨髄腫患者の骨髄中に未熟および成熟骨髄腫細胞の存在すること抗CD38抗体を使用した2-color解析にて明らかにした。接着分子VLA-5の発現の相違により、VLA-5^-の未熟およびVLA-5^+の成熟骨髄腫細胞が識別され、未熟骨髄腫細胞はIn vitro増殖能が盛んで形態学的にも未熟であった。分化の流れを明らかにするべく、正常人の末梢血中に認められる前駆形質細胞(骨髄に入るべく運命付けられた形質細胞)をセル・ソーティングした後In vitroにて培養し骨髄形質細胞へと分化し得る系を確立した。これによると、骨髄ストローマ細胞から産生されるインターロイキン6(IL-6)により前駆形質細胞は未熟形質細胞からさらに成熟形質細胞へと分化した。従って、未熟骨髄腫細胞はより分化度の未熟な細胞であり、いわば骨髄腫のclonogenic tumor cell(骨髄腫前駆細胞)と考えられた。未熟骨髄腫細胞は増殖因子IL-6に反応して増殖し、更にIL-6mRNAを発現していた。逆に、成熟骨髄腫細胞はIL-6にほとんど反応せずIL-6mRNA発現も認められなかった。これらのことも未熟骨髄腫細胞がclonogenic tumor cellであることを支持する。一方、増殖因子IL-6の骨髄腫発症に果たす役割は、未熟骨髄腫細胞が如何にIL-6のシグナルを分化でなく増殖へと誘導するかという点である。今後、更に未熟(前駆)から成熟形質細胞への分化を規定し得る遺伝子を同定する必要がある。
|