研究概要 |
申請者らは昨年に引き続き、染色体11番長腕(11q)に高齢者に認められる11q13及び11q23領域の遺伝子の造血器腫瘍における役割を検討し、以下の結果を得た。 11q13領域に関しては、リコンビナントPRAD1/CyclinD1遺伝子産物にて作製した5D4モノクローナル抗体を用いて、39例のマントル層リンパ腫を含めた334例の悪性リンパ腫を免疫染色法による解析をし、予後をの相関を検討した。従来のマントル細胞リンパ腫を詳細に検討すると、形態学的にマントル細胞リンパ腫を示し、CD5抗原陽性で、サイクリンD1を過剰発現群(group1)は36例,サイクリンD1の過剰発現のない群(group2)4例,又、サイクリンD1の過剰発現もなくCD5陰性群(group3)4例,更に、CD5は陽性だが、サイクリンD1の過剰発現を認めない、び慢性大細胞性リンパ腫(group4)11例の4群に大別された。 Group1群から4群の5年生存率は、それぞれ11%,100%,33%,17%であり、典型的マントル細胞リンパ腫が極めて予後不良の病態を示すことが明らかとなった。 11q23領域より単離したMLL遺伝子に関しては、乳児白血病や二次性白血病の標的遺伝子であるMLL(mixed cell lineage leukemia)遺伝子の造血腫瘍性に関しては、先づMLL遺伝子の特定領域(Zinc finger領域のN端側)での分断が重要であることが強く示唆された。また、EμSV-プロモーターを持つ発現ベクターにて、MLL-LTG19及びMLL-LTG9トランスジェニックマウスを作出し、1年以上経過観察中である。現在のところ白血病の発癌は認めていない。
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