研究概要 |
(1)ラット腎臓におけるLRPの発現分布をreverse transcription polymerase chain reaction(RT‐PCR)法,ノーザンブロット法,免疫組織化学法により検討した.その結果,ノーザンブロット法ではLRPのmRNAは髄質内層>髄質外層>皮質の順に豊富であった.各ネフロンセグメントを単離しRT‐PCRによりLRP mRNAを半定量的に解析したところIMCD>PCT=OMCD>CCD>MTAL=Glmの順でLRP mRNAの発現が認められた.さらにこのLRP遺伝子発現は,我々が作成した抗LRPポリクローナル抗体を用いた免疫組織化学的検討により裏付けられた.LRPの発現が腎髄質内層部の集合尿細管に豊富であるとの結果はLRPのこの部位における機能-例えば尿濃縮機構と関わる可能性を示すもので興味深い.以上の成果は Am.J.Physiol.誌に掲載予定である. (2)新種チロシンホスファターゼの解析.昨年度全長cDNAクローニングを行なった新種PTPase(RKPTPと命名)のラットにおける臓器別遺伝子発現をノーザンブロット法により検討したところ腎臓>肺>脾臓>脳>肝臓の順であった.またラットgenomic DNAを用いたサザンブロットによりRKPTPをコードする遺伝子は単一コピーであることが明らかとなった.このRKPTPのcDNAクローニングに関する成果はFEBS Letters誌に発表した.現在.RKPTPにSH3(src homology 3)の結合部位と考えられるプロリンに富む領域のあることから同領域とSH3配列を有する情報伝達分子との相互作用を検討している.
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