研究課題/領域番号 |
05454346
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研究機関 | 埼玉医科大学 |
研究代表者 |
小川 雄之亮 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (90080126)
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研究分担者 |
板倉 敬乃 埼玉医科大学, 医学部, 助手 (70223071)
金子 広司 埼玉医科大学, 医学部, 助手 (30224596)
荒川 浩 埼玉医科大学, 医学部, 助手 (90271238)
中村 利彦 埼玉医科大学, 医学部, 助手 (30255137)
清水 浩 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (90260843)
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キーワード | 肺サーファクタント / 新生児 / 出血性肺水腫 / 活性阻害 / 最小表面張力 / サーファクタントアポ蛋白A |
研究概要 |
出生直後から発症する出血性肺水腫は、気管内挿管時に多量の黄色から淡血性の気道分泌液のみられることを特徴とする疾患であり、胎便吸引症候群と同様に肺サーファクタントの機能的欠如がその病態の中心をなすものと想定されている。本年度の研究においては、出血性肺水腫11例の気道吸引液を集め、肺サーファクタント活性中心のdisaturated phos phatidylcholine(DSPC)とアポ蛋白の代表であるsurfactant protein-A(SP-A)を同時に測定し、更に気道吸引液中のサーファクタント阻害活性をpulsating bubble surfactometerを用いて測定した。また、この阻害活性と人工肺サーファクタント(S-TA)補充療法の効果との関係についても検討し、本症の病態の中心は肺サーファクタントの機能的欠如にあることを明らかにした。 出血性肺水腫例の気道吸引液中のDSPC/Albumin、SP-A/Albuminは呼吸障害のない例のそれらと比較すると、両者とも有意に低値を示し、肺サーファクタント欠如状態を示した。ついで気道吸引液とS-TAの等量混合液の5分後の最少表面張力(γ min)を1mg/mlのS-TAと比較すると、等量混合液の表面張力は有意に上昇した。これは表面活性の失活、すなわち阻害作用のあることを示し、γ minは阻害活性の程度を示すと考えられた。 また、等量混合液のγ minはSP-A/AlbuminおよびDSPC/Albuminと良好な負の相関を示した(r=0.965,p<0.0005,r=0.857,p<0.001)。 これらの例のVentilatory Index(VI)はS-TA経気道補充療法により有意に下降し、S-TA補充前後のVIの比、すなわちサーファクタントの効果の程度と、等量混合液のγ minで示される阻害活性の程度は正の相関を示した(r=0.617,p=0.0571)。 以上より、新生児出血性肺水腫は肺サーファクタントの機能的欠如が病態の中心であること、阻害活性の定量化が可能であると結論された。
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