研究課題/領域番号 |
05454351
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
谷 徹 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (20179823)
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研究分担者 |
遠藤 善裕 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (40263040)
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キーワード | グラム陽性菌 / 敗血症 / MRSA / anti TSST-1抗体 / Gram positive bacteria / Sepsis / Toxic shock syndrom toxin-1(TSST-1) |
研究概要 |
平成7年度まとめ a)エンドトキシン血症を疑った重傷感染症における血中TSST-1濃度を測定した44例54検体中TSST-1陽性は20検体であった。エンドトキシン陽性のものは有意にTSST-1の値が陰性のものに比較して高値であった(P<0.05)。エンドトキシンとTSST-1、不全臓器数、Seps is severity score(SSS)、及び2週間後の予後を検討した。死亡群では生存群に比べエンドトキシン、TSST-1とも高い傾向を示したが、有意な相関を認めなかった。 b)慢性透析患者における透析中の血中TSST-1濃度、抗TSST-1抗体濃度を測定した。95例の透析中の検体を測定し、4例がTSST-1陽性であった。7例は抗TSST-1抗体陽性であった。抗TSST-1抗体は一定の傾向を認めず透析液の汚染よりblood accessや他の感染によるものと考えれた。 研究の評価 血中のTSST-1はELISAにより約3時間の操作で迅速に測定でき、TSST-1産生グラム陽性菌敗血症の早期診断に有用と考えられた。一方、ウサギを用いた実験から、血中のTSST-1が検出されるには持続的かつ大量のTSST-1産生菌の感染が必要と考えられた。またTSST-1のclearanceについては血液中の不活性化か、血管外への移行あるいは代謝されたかの検討が必要と考えられた。短時間での循環動態の悪化はTSST-1単独では起こり難く、エンドトキシンとの相乗作用によるものと考えられた。臨床では重症敗血症例で予後の悪い症例に高かった。エンドトキシン濃度も高く、グラム陰性菌等との混合感染が疑われた。更に透析患者の汚染も確認されその有用性が示唆された。その機序として実験で証明した様にTSST-1はエンドトキシンとの相乗作用をきたして病態の悪化をきたしていると考えられた。
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