研究課題/領域番号 |
05454353
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
門田 守人 大阪大学, 医学部, 助教授 (00127309)
|
研究分担者 |
永野 浩昭 大阪大学, 医学部・附属病院, 医員
中野 博史 大阪大学, 医学部・附属病院, 医員
梅下 浩司 大阪大学, 医学部, 助手
金井 俊雄 大阪大学, 医学部, 助手 (50205051)
後藤 満一 大阪大学, 医学部, 助教授 (50162160)
|
キーワード | ラット / micro-chimerism / 免疫寛容 / oral tolerance / PCR / RFLP / mitomycin / 抗原修飾 / 門脈内投 |
研究概要 |
現在までにラットを用いた実験において移植前に門脈内ドナー脾細胞を投与したのちに臓器移植を行うと移植心の生着は延長、移植肝は永久生着することを報告してきた。さらにこの現象は、ドナー特異的であるとともに、そのメカニズムの一つとして、脾細胞の投与経路ではなく、肝内への集積が重要な因子であることもあわせて証明してきた。 本年度は、まず投与抗原の経時的な局在を検討する目的で、polymerase chain reaction及びrestriction fragment length polymorphism解析を用いる分子生物学的な方法を開発した。この方法は、10^<-4>のレベルまで、アロ抗原DNAの存在を証明することが可能で非常に感度の高い有用な方法であることが判明した。この方法による解析の結果、アロ抗原を門脈内投与した場合には、投与後28日目までは投与したアロ脾細胞のDNAが脾臓に存在するが、静脈内に投与した場合には14日目には認められないことがわかった(門脈内投与後28日目までの脾臓でのmicro-chimerismの成立)。また、抗ラットMHCモノクローナル抗体を用いて免疫組織学的に検討したところ、このmicro-chimerismは細胞レベルでも成立していることが明らかになった。以上より門脈内抗原投与により誘導される免疫抑制効果については抗原投与後の一定の期間を得た後のmicro-chimerismの成立が関与していることが明らかになった。 さらに門脈内に投与する抗原の質的な差による、免疫抑制効果を比較する上で、脾細胞をmitomycin C( MMC)処理後に投与し異所性心移植を行い、非処理の脾細胞投与群と比較した。脾細胞門脈内投与後に心移植を行うと移植片の生着は有意に延長する(1週間程度)が、抗原をMMC処理後に門脈内に投与し心移植を行った場合は100日以上の長期生着を認めた。このことにより、抗原の至摘な修飾によってはさらなる免疫抑制効果の誘導の可能性が示された。
|