研究課題/領域番号 |
05454360
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
外科学一般
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
松本 昭彦 横浜市立大学, 医学部, 教授 (20045975)
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研究分担者 |
佐藤 忍 横浜市立大学, 医学部, 講師 (80244424)
伊藤 隆明 横浜市立大学, 医学部, 講師 (70168392)
野口 芳一 横浜市立大学, 医学部, 講師 (50180724)
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研究期間 (年度) |
1993 – 1994
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キーワード | インスリン レジスタンス / グルコーストランスポーター / グルコースクランプ / 癌悪液質 |
研究概要 |
本研究ではこれまで解明できなかった担癌時に認められるインスリン抵抗性の原因をインスリン依存性グルコーストランスポーターの制御機構から解明し、いかにすれば担癌生体の全身状態を改善することができるか?を最終目的とし、1.癌患者におけるインスリン抵抗性の病態の解明2.インスリン抵抗性により惹起された耐糖能異常時のインスリン依存性グルコーストランスポーターの役割から検討し以下の結果を得た。 結果 (1)これまで約50例の担癌患者に対するeuglycemic hyperinsuinemic glucose calmpの検討でほとんどの症例でインスリン抵抗性が存在すること、これは病態のstageとは相関しないこと、体重減少とも関連せず、腫瘍依存性の変化であることが判明した(95年日本外科学会採用発表予定)。インスリン抵抗性の顕著な例ではinterleukin-6が上昇していたが、中等度、軽度な例での上昇は見られず、このcytokineがインスリン抵抗性発現と関連するか否かに関しては今後更に検討する(投稿中)。 (2)MCA担がんFischer ratの脂肪組織のインスリン刺激時の糖輸送活性は著明に減少し又、細胞膜上のグルコーストランスポーター(GLUT4)は悪液質状態では著明に減少している。この減少は細胞内プールの減少及び細胞内から細胞膜へのtranslocationでの障害によるもので、control ratではインスリン刺激により有意に増加するが担癌ratではこの上昇が抑制されていることがあらたに判明した(95年日本癌学会発表予定)。 (3)人癌の約25%にGLUT4が発現している事を確認、これはインスリン抵抗性発現の有無(euglycemic hyperinsulinemic glucose clampのM値)とは関連せずこれらの症例ではインスリンを投与し強制的に栄養補給すると生体の栄養補給とはならず癌の発育をより助長する可能性のあることが新たに判明した(95年American Association for Cancer Reseach採用発表予定)。 現在検討中及び今後の発展 (1)肝細胞におけるGLUT1、2の発現を確認した。現在糖新生系及び解糖系の律速酵素の変動とGLUT発現との関連を組織、生化学的に検討中である。(2)人骨格筋及び心筋においてもGLUT2&4の発現を認めインスリン抵抗性の有無による差を現在検討中である。(3)インスリン受容体と刺激伝達系の機構にも着手しており今年度更に研究を継続して結果を得たいと考えている。
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