研究概要 |
平成5年度は5%DSSを用いてラットに急性期潰瘍性大腸炎モデルを作成し、フラクトオリゴ糖の大腸における炎症発生に対する予防効果について検討した。 8週齢のSD系ラット(n=60)を3週間、1)無繊維食,2)15%セルロース食,3)10%フラクトオリゴ糖食について飼育した後、5%DSSを自由飲水させ、1週間後に屠殺し以下の項目について検討を加えた。1)5%DSS飲水開始後の体重減少率,2)屠殺時の大腸の肉眼的所見とシステム顕微鏡およびテレビシステムを用いての病理組織学的評価,3)HPLC法を用いての大腸内短鎖脂肪酸の測定,4)光岡法による腸内細菌の測定した。 その結果、1)食餌摂取量は各群とも差はなかったが、体重減少率は無繊維食で14.2±2.3%,15%セルロース食は13.4±1.4%,10%フラクトオリゴ糖食5.3±2.6%と、フラクトオリゴ糖食では、無繊維食、セルロース食の半分以下の体重減少率に抑制された。2)病理組織学的にも、有意にフラクトオリゴ糖食群で炎症が予防されること、またセルロース食では、炎症の主座が直腸になるのに対してフラクトオリゴ糖では、盲腸に炎症が強いことが判明した。 3)大腸内短鎖脂肪酸の測定の結果、総短鎖脂肪酸および酪酸、酢酸量は炎症の程度と相関性強く、大腸の炎症度の指標となり得ること、および短鎖脂肪酸の面からもフラクトオリゴ糖が有用であるととが判明した。 4)無繊維食、セルロース食では、ビヒィズス菌検出不能例が多いのに対しフラクトオリゴ糖投与食では、平均10^<7-8>検出され、フラクトオリゴ糖の炎症予防効果とビヒィズス菌の関連性が示唆された。
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