研究概要 |
NDPキナーゼ(nm23/PuF)の遺伝子各フォームのmRNAについて、in situ hybrization法で細胞レベルの発現を検討した。いずれのアイソフォームのmRNAも、臓器形成時期において発現誘導が強度であった。しかし、成体においては、発現は普遍的であるものの、各臓器ごとの発現強度について特異的な差異が認められた。即ち、αmRNAは、分泌器官(唾液腺、乳線等)や肝臓等の蛋白合成の盛んな臓器(肝臓等)での発現が著明となり、他方、βの発現パターンは概ねαのそれとオーバーラップするが、脳において強い発現が著明である。蛋白レベルの発現を解析するために、アイソフォーム特異的モノクロナール抗体を用いて免疫組織染色を行った。αアイソフォームは発生早期から全細胞に強く発現され、成体でも維持されていた。一方、βは各臓器の形成期以降に発現し、しかも、各臓器、各細胞における発現強度についても大きな差異が認められた。加齢によってβ発現の浮動性が強まる傾向が観察されたが、差異の詳細とその生物学的意義について今後の研究が必要であろう「第54回日本癌学会(1995.10.3-5 京都、First internatinal workshop on nm23/NDP kinase.1995.10.11-13 Institut Pasteur,パリ」。 臨床例において、癌転移予見のインジケーターとしてのnm23/NDP kinase抗体の有用性の検討を続行した。今回、胃癌初発150症例の凍結保存新鮮標本について、nm23/NDP kinase,PCNA,p53,C-erbB-2,CD44などの各抗体を用いて免疫染色を行い、染色強度と癌臨床病理所見や長期予後を検索し、リンパ節転移とNM23陽性度の相関。PCNA陽性例やNM23陰性例における予後不良の事実が判明した(First International gastric cancer congress 1995.3.29-4.1京都、36th World congress of surgery 1995.8リスボン」。
|