胆嚢癌発生の除草剤クロルニトロフェン(CNP)の役割を明確にするため以下の検討を行った。 1.新潟地方の胆石症患者胆汁の変異原性:胆道癌死亡率の低い地方のそれに比して有意に高いことが確認された。 2.胆石症患者胆汁中へのCNPの排泄:有効検討対象2例いずれもCNPおよびそのアミノ体に相当するピークを示し、胆汁中CNP排泄が強く示唆された。 ハムスターに対するCNP長期投与の影響 1)CNP2000ppm含有飼料40週間飼育では胆嚢・膵に癌や異型上皮の出現を認めなかった。胆嚢粘膜上皮のPCNA陽性率は対照に比して高かったが有意差ではなかった。 2)BOP発癌実験におけるCNPの発癌促進作用:胆嚢の高度異型上皮出現頻度は対照と同等であったが、癌の発生を実験群の1例に認めた。膵の癌あるいは高度異型上皮の出現率は実験群で高率であったが有意差ではなかった。 結論 1.人胆汁中にCNPの排泄を示唆する所見が得られた。 2.ハムスターのCNP2000ppm含有飼料による40週の飼育では、CNP単独での胆嚢での発癌作用は証明されなかった。 3.BOP発癌過程ではCNPの発癌促進作用が疑われた。
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