研究分担者 |
川崎 正和 北海道大学, 医学部・附属病院, 医員
瀧上 剛 北海道大学, 医学部・附属病院, 医員
椎谷 紀彦 北海道大学, 医学部・附属病院, 助手 (00250449)
松居 喜郎 北海道大学, 医学部・附属病院, 助教授 (90219379)
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研究概要 |
目的:肺保存におけるOxygenated Blood(O-B)の有効性を検討する. 方法:New Zealand White Rabbits 18羽使用.PGE1前処置後,摘出時灌流および摘出肺の単純浸漬冷保存(18時間、10℃)を3種保存液にて行った. 1)Euro-Collins液(E-C群; n=6) 2)LPD液(LPD群; n=6) 3)同種酸素化血液(O-B群; n=6).保存後の肺機能をex vivo兎血灌流モデルで評価し、血清学的測定も施行. 結果:摘出時灌流の肺動脈血管抵抗:LPD群、O-B群、E-C群の順に低かった(p<0.05).保存後酸素化能(PaO2:mmHg):全灌流時間を通じてLPD群、O-B群、E-C群の順に高かったが、5分・10分後ではLPD群、O-B群間に有意差はなし.再灌流時平均肺動脈圧:全経過中を通じてLPD群・O-B群はE-C群に比較し有意に低かったがLPD群とO-B群は有意差はなかった.Wet/Dry ratio(%):E-C群はLPD群,O-B群間に比較し有意に高値であった.血清学的検討:Thrombomodulin(TM)、Endothelin(ET)は3群間に有意差は無かったが、O-B群、LPD群、E-C群の順に高値を示した.E-selectinはOB群が他の2群より有意に高値を示した.組織学的検討:保存液による組織学的差異は認めなかった. 考察:OBが,E-C液より良好であった理由として 1)細胞外液組成としての利点、 2)酸素化による効果 (肺血管拡張、有酸素代謝)、3)TMにより活性化されたprotein Cによる白血球活性抑制効果が考えられ、またLPDに比較して不良だった理由として、1)摘出時灌流の不均一、2)血液成分(白血球、血小板)による内皮細胞活性化などが考察された. 結論:肺保存後の酸素化能についてはE-C液より良好であるもののLPD群に比較して劣っており,Oxygenated Bloodの肺保存液としての有用性はLPD液に及ばないと考えられる.
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