研究課題/領域番号 |
05454378
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
藤村 重文 東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (40006078)
|
研究分担者 |
半田 政志 東北大学, 加齢医学研究所, 助手 (70211498)
近藤 丘 東北大学, 加齢医学研究所, 助手 (10195901)
|
キーワード | 肺移植 / 拒絶反応 / 拒絶反応監視 / 胸腔鏡 / 肺生検 |
研究概要 |
日本ザル2頭を用いて左肺同種移植実験を行った。移植術後は免疫抑制剤は用いず、拒絶反応の自然経過を観察することとした。また、抗生剤による化学療法を強力に施行して感染を極力抑制した。移植3日後、1週後、10日後、2週後の計4回にわたり胸腔鏡を施行し、移植肺表面の肉眼所見の変化、胸水貯留の有無、および胸腔内の癒着の程度を観察した。観察終了後に移植肺の生検を行い、標本をただちにホルマリン固定して染色標本を作成し、組織学的検討を行った。また、胸腔鏡検査と同時に施行した胸部X線写真所見と移植肺組織所見との相関も検討した。 この結果、早期拒絶反応は肺表面の肉眼所見の変化および胸部X線写真上の所見のみから推定することは困難であり、複数部位からの肺生検による診断がもっとも確実であることが示唆された。また、懸念された移植手術および胸腔鏡の施行による胸腔内の癒着は軽度であり、胸腔鏡操作によって十分に剥離できるものであった。これらの実験結果により、肺移植後の急性拒絶反応の進展様式は均一ではないことが判明し、急性拒絶反応の診断には移植肺全体の観察が重要であると考えられるとともに、胸腔鏡を使用した移植肺の観察と胸腔鏡下での移植肺の複数部位からの組織標本の採取は、拒絶反応と感染症の鑑別診断および拒絶反応の進行度の診断上安全で有用な方法であることが確認され、肺移植後の患者管理上極めて意義がある手技であると考えられた。
|