研究課題/領域番号 |
05454379
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
仁田 新一 東北大学, 加齢医学研究所, 助教授 (90101138)
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研究分担者 |
長嶺 進 東北大学, 医学部, 助手 (60250768)
内田 直樹 東北大学, 医学部, 講師 (70241635)
近江 三喜男 東北大学, 医学部, 講師 (00144931)
毛利 平 東北大学, 医学部, 名誉教授 (60108503)
貞弘 光章 東北大学, 医学部, 助手 (80250778)
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キーワード | 呼吸補助 / 循環補助 / ホローファイバー / 人工肺 / 人工心臓 / 埋め込み型人工心肺 |
研究概要 |
開心術後症例では術後心不全のみならず、呼吸不全で失うことも少なくなく迅速かつ簡便に使用し得る呼吸循環補助装置が得られれば、手術成績を格段に向上できるものと思われる。今回我々は、人工肺に使用されるホローファイバーの伸縮性と成型性に注目し、容積が変化し得るホローファイバー束を用いてバルーンパンピングを行い、循環補助と呼吸補助が同時に可能なシステムの開発を目指してきた。バルーンには疲労に強いポリプロピレンの膜厚0.05mm,外径0.5と1.0mmの微小孔を有する薄膜を使用し、この細いバルーンを束ねて直径が約1.0cm以内のものを作り、収縮期の容積較差が30ml、膜面積が約1.0m^2の人工肺を作製した。駆動装置は人工心臓用気体駆動システムを用いて、モデル循環中で使用した。しかし現有のポリプロピレン膜では、硬度が高く十分なdisplacement volumeが確保しがたく、この目的にあった新しいスペックのもとに改良する必要があることが判明した。次にシリコンを使った膜は、柔軟性に富み、酸素化効率も十分に得られたが、残念ながら折れ曲がり強度に劣り、耐久性が得られず新たな検討が必要であった。この対策として、よりdisplacementが少なくて済むように、高頻度の脈動が得られる駆動方法として、われわれが開発中の振動流ポンプ(vibrating flow pump:VFP)の応用を検討した。このVFPは秒間に10〜50回高頻度に駆動するもので、一回あたり数mlのvolumeの変化で充分な心拍出量が得られるポンプであり、人工肺のvolume displacementも少なくて済む利点がある。また、このような高頻度の振動流を用いると通常定常流を使った人工肺で見られるような、チャンネリング、血液の停滞が起こらないために、有効なガス交換面積が多くなる長所がある。実績結果からは、20〜30Hzの駆動周波数を選ぶことにより、同一の心拍出量下で約2倍の酸素化効率が得られることがわかった。この振動流ポンプと試作したホローファイバー人工肺により、小型人工心肺装置の実現が可能となり、またこれは完全体内埋め込み型人工心肺の可能性を示すものとして新たな呼吸循環補助または代行装置として注目されよう。
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