研究課題/領域番号 |
05454380
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
森下 靖雄 群馬大学, 医学部・第二外科, 教授 (40145470)
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研究分担者 |
大滝 章男 群馬大学, 医学部, 助手 (80241876)
石川 進 群馬大学, 医学部, 助手 (90241877)
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キーワード | 心臓保存 / 単純冷却浸漬法 / 持続冠潅流法 / 同所性移植 / 心筋内高エネルギーリン酸 / ^<31>P-MRS |
研究概要 |
単純浸漬保存後に持続冠潅流を加えることで、単純浸漬保存中に消耗された心筋内高エネルギー物質が、再び心筋内に備蓄されることを証明し得た。 1.方法:実験には雑種成犬10頭を用いた。全身麻酔後、気管内挿管し、右第4肋間で開胸した。GIK液による心停止後、4℃のUW液(20ml/kg)を用い、80cm水柱圧で冠血管床をwashout後心臓を摘出し、直ちに4℃のUW液に単純浸漬保存した。12時間の浸漬保存後、4℃の酸素化したUW液で、1時間の低温(4℃)低圧持続冠潅を行った。以上の経過中、(1)心摘出後1時間、(2)浸漬保存12時間後、(3)持続冠潅流1時間後の計3回、心筋温4℃の条件下で、^<31>P-MRSを用いた心筋細胞内高エネルギーリン酸を測定した。高エネルギー物質の指標として、PCrとβ-ATPを用いた。同時にMRS分析から心筋内pHを算出し、持続潅流の前後で、心筋水分含有量も測定した。 2.結果:浸漬保存および冠潅流中の心筋温は4-6℃に保持されていた。心摘出1時間後のPCrを100%としたとき、浸漬後および持続冠潅流後のPCrは各々12.1±8.0%(mean±SEM)、94.0±16.2%で、有意に(P<0.001)冠潅流後にPCrは改善した。β-ATPも浸漬保存後および持続冠潅流後で各々37.4±7.9%、48.8±8.2%と、潅流後に有意に(P<0.05)高エネルギーリン酸の増加を認めた。心摘出1時間後、浸漬保存後および持続冠潅流後の心筋内のHは各々6.77±0.05、6.23±0.07、6.38±0.05と、浸漬後に比べて持続冠潅流後に有意に(P<0.01)改善がみられた。心筋水分含有量は持続冠潅流の前後で有意差はなかった。 3.考察及び結果:浸漬保存後冠潅流を加えることで、心筋内エネルギー状態が改善されるものと推察された。冠潅流により冠血管床からの代謝産物がwashoutできる反面、長時間浸漬保存後であるために、血管内皮細胞傷害の問題も加わってくる。その確認のためにも、同所性移植による検討が必要であり、そのための準備を行っている。
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