研究概要 |
1.ヒト肺癌継代細胞Madison-109を用いて,マウスのリンパ節転移モデルが作成された.現在,各種治療法の効果について実験評価中である.また,臨床材料を用いた免疫形態学的検討では縦隔リンパ節転移陽性例においてsinus histiocytosis,follicular hyperplasiaの程度が強くなるほど予後が良好であることが明かとなった. 2.肺癌領域リンパ節リンパ球(RLNL)や腫瘍浸潤リンパ球(TIL)について自己腫瘍細胞傷害活性を測定した結果,RLNLではリンパ節転移の進行と共に低下するのに対し,TILでは病期との関連はなかった.さらに,その作動細胞がCD8+CD11-のT細胞であることが示唆された. 3.肺癌臨床例の新鮮切除標本を材料に核DNA量とPCNAの同時定量的解析を行った.腫瘍内heterogeneityはDNA ploidy pattern,PCNA標識率共に認めた.リンパ節転移はPCNA標識率が高い細胞群で生じることが予想され,DNA multiploidyの場合はG0G1期細胞のPCNA標識率が高い細胞群が転移しやすいものと思われた. 4.マトリックスメタロプロテナーゼ(MMP3)と癌の浸潤転移の関係を検討した.活性型MMP-2はリンパ節転移とよく相関し,MMP-2活性化因子と考えられる膜結合型MMPの転写レベルでの過剰発現が癌特異的におこることが確認された.今後ウェスタンブロッティング法によりこのMMPの蛋白レベルでの発現を検討予定である. 5.その他,遺伝子異常やアポトーシスなどとリンパ節転移や予後との関連について引続き検討中である.
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