平成5年度の磁気浮上型遠心ポンプと市販の遠心ポンプの比較溶血試験の結果は、流量51/min揚程100、150mmHgいずれの条件においても、磁気浮上ポンプが有意に優れており、磁気浮上ポンプの血液成分に与える影響は非常に少ないという結果を得た。 平成6年度は、この結果を踏まえ、磁気浮上ポンプの細部に改良を加え、溶血実験を繰り返し、より血液成分に与える影響の少ないポンプの開発に努めた。その結果、ポンプのインペラ-と隔壁との間隙は、0.15mmにすれば、溶血を減少させることができ、ポンプ効率も保たれることが判明した。さらには、実験動物(羊)を用いての実験を開始した。ポンプの耐久性には問題はなかったが、抗血栓性の点で、まだ不十分であった。ポンプ内で回転するインペラ-を、抗血栓材料でコーティングする必要があると思われた。そのため、インペラ-をシリコンコーティングし、羊を用いての動物実験を施行したところ、2週間の長期にわたって、ポンプは問題なく回転し、流量補助することができ、また、インペラ-も含めて、ポンプ内にはまったく血栓の付着を認めなかった。現段階において、この磁気浮上ポンプは2週間の連続運転で、まったく問題はなく、抗血栓性についてもシリコンコーティングが今のところ非常に有用であることが判明した。
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