研究課題/領域番号 |
05454388
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研究機関 | 佐賀医科大学 |
研究代表者 |
夏秋 正文 佐賀医科大学, 医学部, 助教授 (90075557)
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研究分担者 |
古川 浩二郎 佐賀医科大学, 医学部, 助手
伊藤 翼 佐賀医科大学, 医学部, 教授 (10110496)
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キーワード | 心臓内視鏡 / 三尖弁 / 弁輪運動 / De Vega法 / flexible ving / rigid ving |
研究概要 |
心臓内視鏡による弁輪運動の直視下観察で、房室弁閉鎖機構における弁輪運動の解明と各種三尖弁輪形成術(De Vega法、Flexible法、Rigid ring法)の弁輪運動の比較を行なった。成犬を用い、心臓を透明なTyrode液で灌流し心拍動下に三尖弁輪運動をfiberscopeで観察、high speed videoに録画し一心周期14点で三尖弁輪面積を求め弁輪運動を解析した。正常犬10頭、一次性三尖弁閉鎖不全犬に対しDe Vega法を用い弁輪面積を非縫縮・80%に縫縮・65%に縫縮・50%に縫縮したもの9頭、二次性三尖弁閉鎖不全犬に対しFlexible ring、Rigid ringにて弁輪形成したもの9頭をそれぞれ観察、分析した。正常三尖弁輪は、心房収縮期に7%拡張し心室収縮期に34%縮小した。自由壁側弁輪は、長さの短縮とともに求心性に収縮し、中隔側弁輪は自由壁側に向かう移動運動を示した。慢性三尖弁閉鎖不全では、弁輪縮小率は20%と減少した。De Vega法80%、65%、50%、群での縮小率はそれぞれ17%、17%、16%であり、慢性三尖弁閉鎖不全と有意差を認めなかった。また、Flexible ringで弁輪形成したものの縮小 率は21%で慢性三尖弁閉鎖不全と有意差を認めず、交連部の柔軟性が自由壁側と中隔側弁輪の近接を可能にしていた。Rigid ringで弁輪形成したものでは、弁輪は固定され弁輪運動は完全に阻害された。房室弁閉鎖機構における心室収縮期での弁輪収縮の意義は、弁のcoaplation zoneをより強固なものとし、逆流を防止するための予備力を生み出すことと考えられる。また、心房収縮期における弁輪拡張運動は心室充満期における流入抵抗を減弱させる可能性がある。したがって、弁輪運動を温存することは極めて有意義であり、その意味でDe Vega法・Flexible ring法はRigid ring法に比べ、より理想的である。
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