研究概要 |
癌細胞に対するヒト型モノクローナル抗体を用いて、ミサイル療法を行う為、癌患者の所属リンパ節から得たリンパ球とマウスミエローマSP2/0の改良株を用い作成したヒト型モノクローナル抗体MH21-134及びSCIDマウスを用いて得たヒト型モノクローナル抗体SI-1,SI-5を準備した。 これらのエピトープは順に、Galbeta1→4GlcNAcbeta1→3Galbeta1→4GlcNAcbeta1→3Galbeta1→4Glcbeta1→R,Galbeta1→4GlcNAcbeta1→R,Galbeta1→4GlcNAcbeta1→3Galbeta1→4GlcNAcbeta1→Rであり、いずれもtype 2chainの糖鎖を認識する抗体で、強いADCC活性を有するlgG3 typeのヒト型モノクローナル抗体である。 現在までこれを進行肺癌で術前にその栄養動脈である気管支動脈より注入し、その後切除を行ってきた。その切除標本より、直接イソプロピルアルコール・ヘキサン・水の系により糖脂質の抽出を行ったところ、糖鎖の伸長現象によるエスケープ現象は観察されず、これまでのところ不全現象が主であると考えられる。又再発転移性肺癌でも気管支動脈よりの注入を近日中に行う予定である。一方乳癌では胸壁再発例に対し周囲の外表面より注入した後摘出した。現在切除標本を用い免疫組織染色を行い用いた抗体の分布集積状態を検討している。同時に、切除標本より糖脂質の抽出を行い、糖鎖の伸長、不全現象などの抗原性の変化を、TLC immunostainingを行い、検討中である。なお、SI-1,SI-5,MH21-134のうち末端二糖しか認識していないSI-1は全身投与では副作用として白血球減少症をまねくことが多く、これからは、局所投与にのみ使用する予定である。
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