研究概要 |
1.O^6-メチルグアニン-メチル転移酵素(MGHT)のcDNAプローブの作成 MGMT cDNA(pKT107)から制限酵素PstIで切断して331bpのpKW100を作成し,これをプローブとしてRT-PCR法を行い,特異的バンドがゲル上で確認された. 2.脳腫瘍細胞におけるMGMTの遺伝子解析と発現 pKW100をプローブとして脳腫瘍細胞のMGMT mRNA発現量とクロロエチール・ニトロソウレア(CENU)感受性の関連を分析した.用いた脳腫瘍培養細胞はU138,T98G,AM(当研究室で樹立)で,MGMT活性は,それぞれ1316,130,16fmol/mgであり,U138細胞がCENU抵抗性であるのに対して,AM細胞は感受性株であった.U138細胞でmRNAの発現量は高値で,AM細胞は低値であり,MGMT活性に応じて発現量が増加していた. 3.ヒト脳腫瘍におけるMGMTのmRNA発現量とCENU治療効果 ヒト脳腫瘍組織のMGMT活性の測定で,グリオーマ(悪性脳腫瘍)のMGMT活性は多様であるが,20〜30%程度の腫瘍で活性が低いことが判明し,これらの腫瘍においてpKW100をプローブとしてヒト脳腫瘍のmRNAを測定している.また,その発現量とCENU治療効果との関連を評価し,mRNAの発現量に基づいたCENUの選択的化学療法の指標の妥当性を検討中である.
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