研究概要 |
1.O^6-Methylguanine-DNA methyltransferase(MGMT)不活化剤によるchloroethylnitrosourea(CENU)効果増強 2.O^6-Alkylguanine誘導体を合成し,10〜100μM濃度で2時間前処理後にACNUを2時間反応させ,MTT法で培養細胞(HeLa S3細胞と脳腫瘍細胞)における殺細胞効果を測定した。ACNU抵抗性細胞においてO^6-benzylguanine,O^6-(p-methylbenzyl)guanine,O^6-(p-chlorobenzyl)guanineの前処理によってACNUの殺細胞効果が2倍以上(最大90倍)に増強された.これに対して,O^6-methylguanine,O^6-methylhypoxanthine,およびO^6-benzylhypoxanthineの10〜100μM濃度でACNUの効果は増強されず,N^2-acethyl-O^6-benzylguanineとN^2-benzylguanineによる増強効果も認められなかった.ACNU効果増強のためにMGMT不活化剤として,O^6-benzyl基のほかに2位アミノ基が効果増強に重要な役割を持つことが明らかにされた. 2.ヒト脳腫瘍組織におけるMGMT mRNA発現 脳腫瘍では摘出標本量が限られるので,MGMT cDNA(pKT107)から制限酵素PstIで切断して331 base pairsのpKW100を作成し,これをプローブとして脳腫瘍細胞のMGMT mRNA発現量を解析した.40例のヒト脳腫瘍組織のMGMT活性は,髄膜腫や神経鞘腫の良性腫瘍で高値であり,グリオーマ(悪性脳腫瘍)で比較的低値を示した。グリオーマのうちほぼ半数の症例でU138細胞(高活性細胞)の20%以下であり,mRNAの発現量に基づいたCENUの選択的化学療法の指標の妥当性が示唆された.
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