研究概要 |
1.クモ膜下出血後発生する脳血管攣縮におけるL-アルギニン-1酸化窒素経路の関わりを検討するためにラット,イヌで自家血大槽内注入法により実験的クモ膜下出血を作成し脳血管攣縮の有無を確認した。ラットでは0.3ml,イヌでは1ml/kg体重の自家血を注入したところラットではDay1で20%,イヌではDay3で50%の狭小化が得られた。この脳底動脈の狭小化はラットではDay7,イヌではDay21に正常レベルに回復した。 2.クモ膜下出血作成後経時的に潅流固定して採取した脳血管をNO合成酵素に対する抗体を用い免疫染色したところラット脳血管外膜に存在するNO合成酵素陽性線維の数がDay1をピークに減少していた。イヌでは同様の検討をNADPH-diaphorase染色で行なったところDay3をピークに陽性線維の減少が認められた。現在,内膜,中膜においても検討中である。 3.L-アルギニン-NO経路を介する血管の弛緩反応をイヌの正常脳血管において検討中である。今後クモ膜下出血犬において検討を追加する予定である。 以上の組織学的,薬理学的検討をさらに進め,のち血管壁内のNO合成酵素の活性,誘導を生化学的,分子生物学的にも検討する予定である。
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