実験動物(rat)を使用して血管柄付脛骨移植を大腿骨に行い、移植骨およびそれに付着せるmuscle sleeveの経時的変化をX線学的、組織学的に検討した。その結果、血管柄付移植骨周囲に付着したmuscle sleeveは移植後徐々に脂肪変性や線維化などの変性に陥ることが明らかになった。また移植した脛骨と大腿骨の距離が近いほどmuscle sleeve介在部位での骨癒合は良好であった。両者の間に圧迫を加えたり、追加骨移植を行うことにより骨癒合率は更に向上した。 臨床例のX線学的検討では、血管柄付腓骨に付着しているmuscle sleeveの存在部位に明らかな骨形成がみられた症例があり、これはmuscle sleeve周辺の骨から形成されたものと考えられた。 整形外科領域において治療が極めて難しいとされる先天性下腿偽関節症に対して血管柄付骨移植を行う際に新たな試みとして創外固定法を併用したが、その結果早期から負荷歩行を行う事が可能であり、移植腓骨の横径増大も従来の方法に比較しより旺盛であった。移植骨の肥大に関しては術後の移植骨に対する適度なstressがその大きな要因とされるが、そのためには創外固定による負荷は良好な結果が期待でき、優れた手術法であることが示唆された。 約30例の大腿骨頭壊死に対する血管柄付骨移植の臨床例の経過は現在のところ良好な結果であり、今後移植骨の周囲骨への影響など実験動物での組織所見などの解明が必要である。
|