研究概要 |
1.骨肉腫患者の血液を60例収集し,DNAの抽出は終了した.p53遺伝子の配偶子突然変異の検索をPCR-SSCP(Polymerase Chain Reaction-Single Strand Conformation Polymorphism)法で行っており,約2/3を終了した段階であるが,1例においてexon5に異常バンドを認め現在direct genomic sequencingを行い塩基配列を解析中である.もし配偶子突然変異であることが確定すれば,その患者に関する詳細な家族歴を聴収し,可能な限り血縁者の血液を収集し血縁者のそれぞれにおける配偶子突然変異のの有無を決定し悪性腫瘍の病歴との関連を解析する予定である. 2.Rb遺伝子の突然変異の解析はまず56例の骨肉腫腫瘍標本を用いて行い,exon1〜27のすべてのエクソンについて解析は終了した.その結果,骨肉腫56例中3例に微小な突然変異を認めた.3例の内訳はnonsense mutation,1例;frame shift mutation,2例であった.この3例は全て体細胞突然変異であり,配偶子突然変異ではなかった.またRb遺伝子の異常(サザン法で解析可能な大きな構造異常とPCR-SSCP法で解析した微小変異の両方を含む)と骨肉腫患者の生命予後との相関を解析した結果,腫瘍に遺伝子異常が存在した患者の予後は遺伝子異常が認められなかった患者と比較して統計学的に有意に悪かった(p<0.0001).引続き骨肉腫以外の骨軟部腫瘍におけるRb遺伝子の突然変異と,骨肉腫患者におけるRb遺伝子の配偶子突然変異の検索を行う予定である.
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