研究課題/領域番号 |
05454413
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
岩月 尚文 東北大学, 医学部, 助教授 (50004908)
|
研究分担者 |
浅野 三哉 東北大学, 医学部・附属病院, 助手 (30250757)
高橋 雅彦 東北大学, 医学部・附属病院, 助手 (60236320)
|
キーワード | 全脳虚血 / 全脳虚血モデル / 虚血後脳障害 / ストレス蛋白質 / 脳組織標本 |
研究概要 |
安定した多数の動物供給が可能で、脳の生体還流固定がよく容易に行え、かつ種種の試薬の使用量を少なくするため、小動物モルモットによる全脳虚血モデルを作製することとした。モルモットでは、これまで血管結紮による脳部分虚血モデルはあるものの、全脳虚血モデルは全く作られていない。我々は、ワイヤーを用い直径2mmのL型鈎を作製し、これを右第2肋間より挿入し、鈎のL型部分で上行大動脈をひっかけつり上げ胸骨との間にはさむことにより、大動脈を遮断する法を考案した。モルモットにハロセンを吸収させ麻酔し、直ちに気管切開しチューブを挿管、筋弛緩薬投与下で人工呼吸とし、0.5%ハロセンで麻酔維持した。大動脈にカニュレーションして動脈圧を測定、頭蓋骨に骨窓をあけドプラー血流計にて脳血流を測定、さらに脳波(EEG)、心電図(ECG)モニターした。前述の方法にて適切な部位にワイヤーが挿入され大動脈がつり上げられると、動脈圧波型は平坦となり7〜9mmHgの血圧が示され、脳虚血は200ml/min前後より直ちに20ml/min前後とほぼ0となりEEGが10〜20秒で平坦となり、全脳完全虚血を成立が示された。ECGでは、先ず頻拍が出現、次いで時に5分前後でA-Vブロックが出現するものもあり、ごくまれに6分以後に心室細動となるものもあった。遮断解除後はエホチール投与と閉胸心マッサージで蘇生を行った。5分と8分の遮断を試みたが、5分群ではほぼ全例が10〜60秒で蘇生に成功したが、8分群では最大2分の蘇生時間を要した。遮断解除後1時間で麻酔を止め、自発呼吸として抜管し、気管切開口を残したまま観察した。回復の良好なものは3〜4時間後より自力飲水を始め、1週間以上の生存が得られた。この時点で、再度麻酔をかけ、ホルマリンで脳還流固定を行い、凍結保存を行い、組織標本にて虚血変化の程度を、目下検討中である。今年度は、モルモットにおける全脳虚血モデル作製に成功した。
|