研究課題/領域番号 |
05454420
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
麻酔・蘇生学
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
芝本 利重 信州大学, 医学部, 助教授 (90178921)
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研究分担者 |
山口 芳裕 信州大学医学部, 助手 (10210379)
小山 省三 信州大学医学部, 教授 (00115346)
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研究期間 (年度) |
1993 – 1995
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キーワード | 肺水腫 / 肺動脈圧 / 肺血管透過性 / カテコラミン / エピネフリン / 濾過係数 / 神経原性肺水腫 / ノルエピネフリン |
研究概要 |
肺水腫発生に対する交感神経の関与を明らかにするために血管壁を介する水分移動を規定したStarlingの式より血管透過性と毛細管圧の二つの因子について体液性ならびに神経性の関わりを検討した。体液性因子の検討として犬の摘出灌流肺において実験的に神経原性肺水腫時に認められる高濃度のエピネフリンならびにノルエピネフリンは肺静脈側の血管を優位に収縮させ肺毛細血管圧を上昇させたが肺重量は増加させなかった。さらに濾過係数ならびにisogravimetric capillary pressureは変化せず肺血管透過性亢進はみられないことが示唆された。さらに肺水腫の惹起物質として知られる血小板活性化因子(PAF)ならびにThromboxaneA2(STA2)の肺血管作用と比較するとカテコラミン投与とPAFおよびSTA2による肺毛細管圧の上昇は同程度であったが、カテコラミンでは投与前値に比べ肺重量が低下し、一方PAFおよびSTA2では肺重量が増加した。これらはカテコラミンでは投与後初期にも血管透過性の亢進がなかった上に、さらにPAFならびにThromboxaneA2に比べて血管透過性の小さいことを示すものである。以上の成績を総合的に評価すると血液中のカテコラミンは肺静脈側優位の収縮により肺毛細管圧を上昇させ肺水腫を惹起する可能性はあるが肺血管透過性は亢進しないと結論できる。一方、神経性因子についてはイヌと兎を用いた摘出灌流肺で直接的に肺を支配する交感神経を電気刺激し検討した。その結果、いずれの種の肺においても血管透過性と肺血管内圧には有意の変化はみられなかった。この成績は血管透過性の変化を血管内圧の変化から分離させて評価するという目的のために摘出灌流肺における成績という制限はあるが、肺支配の交感神経は肺循環、特に肺血管透過性の制御には大きな働きを有しないことを示唆するものと考える。今後さらにin vivoのwhole animalでの検討が必要と思われる。
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