研究概要 |
1.AZFのcloning Y染色体特異的DNA probeを用い、男性不妊症患者の遺伝子分析を行い、微小なY染色体DNAの欠失部分を同定した。更にchromosomal walkingなどの分子生物学的手法を用いcloning中で、現在Yg11.23の区間のかなり狭い領域まで絞りこまれている。 2.性分化異常および精巣機能異常症例の末梢リンパ球遺伝子分析 完全型精巣性女性化症および特発性男性不妊症の一部の症例の末梢血より得られたDNAを分離し、hAR遺伝子を分け、PCR法にて遺伝子塩基配列の異常の有無を検討した。完全型精巣性女性化症例ではexon B,C,D,Hにそれぞれ1塩基の突然変異を認めた。35例の特発性男性不妊症例中3例でexon B,C,Dにおける1塩基の突然変異を認めた。 3.精巣機能異常症例精巣組織での遺伝子発現の分析 停留精巣患者、特発性男性不妊症患者より生検にて得た精巣組織について、AR,FSH-R,inhibinの発現をNorthern blotで検討した。停留精巣ではAR,FSH-Rは正常精巣より有意に減少しており、inhibinは増加傾向があった。一部の時発性不妊精巣ではAR,FSH-Rの減少を認め、男性不妊症の原因をして、これらの異常の存在が示唆された。
|