胎児・胎盤の発育・成長を制御するヒト胎盤絨毛由来調節因子に関する細胞生物学的研究

1994 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 05454450
• 研究機関: 大阪大学
• 研究代表者: 佐治 文隆 大阪大学, 医学部, 講師 (90093418)
• 研究分担者: 木村 正 大阪大学, 医学部, 助手 (90240845) ; 上浦 祥司 大阪大学, 医学部, 助手 (10243213) ; 大橋 一友 大阪大学, 医学部, 助手 (30203897) ; 古山 将康 大阪大学, 医学部, 助手 (00183351) ; 東 千尋 大阪大学, 医学部, 助手 (20151061)
• キーワード: 胎盤絨毛 / アポトーシス / IL‐6 / LIF / hCG

研究概要

初期胚の着床ならびにその後の胎児・胎盤の発育に重要な役割を担っていると考えられる胎盤絨毛が有する増殖・分化・内分泌・免疫機能に関して以下の研究成果を得た。
(1)胎盤機能とapoptosis
正常妊娠、子宮内胎児発育不全、ならびに妊娠中毒症の症例から胎盤絨毛組織を得手、DNA fragmentationの手法を用いてapoptosisの出現を観察した。その結果、子宮内胎児発育不全及び妊娠中毒症の胎盤組織では正常胎盤と比べてapoptosisの増強が観察された。
(2)妊娠初期絨毛と子宮脱落膜で産生されるサイトカインの機能解析妊娠初期絨毛ならびに脱落膜組織におけるInterleukin‐6(IL‐6)、Leukemia Inhibitory Factor(LIF)の発現を免疫組織染色で確認した。これら組織の器官培養により、LIFはIL‐6とは異なり主として脱落膜から産生されていた。絨毛細胞によるhCG産生はLIFの刺激により濃度依存性に上昇し、LIFとIL‐6 signal transducer(gp130)を介したhCG産生系が胎盤絨毛において存在するが判明した。この系は既知のゴナドトロピンとそのレセプターを介するhCG産生系や既に我々が報告したIL‐6とそのレセプターを介するhCG産生系とは独立して機能する。

研究成果

• [文献書誌] Fumitaka Saji et al.: "Current Topic:Human Placental Fc receptors." Placenta. 15. 453-466 (1994)
• [文献書誌] Takayoshi Okada et al.: "The role of soluble IL‐6 receptor in the regulation of HCG production by human trophoblasts." Proceedings of the 8th Annual Meetings of JSIR 1994.8. 113-115 (1994)
• [文献書誌] Keisuke Sawai et al.: "Interleukin-8(IL-8)in maternal sera at term pregnancy is the best marker for prenatal diagnosis of chorioamnioniti" Proceedings of the 8th Annual Meeting of JSIR 1994.8. 150-153 (1994)
• [文献書誌] Toshihito Kanai et al.: "Increased level of interleukin-1 receptor antagonist(IL-1ra)in uterine cervical mucus at ovulatory phase." Proceedings of the 8th Annual Meeting of JSIR 1994.8. 17 (1994)