研究概要 |
1 細胞接着因子による子宮頚癌細胞の cell cycleの変化、および増殖能の変化の検討 :子宮頸癌細胞株HeLaを用い、細胞増殖、およびflowcytometryによるcell cycleの解析を行った結果によれば、子宮頚癌細胞のcell cycle,増殖能は癌細胞にfibronectin,lamininを結合させても有意に変化しない結果であった。現在、他の子宮頚癌細胞株および子宮体癌細胞株についても検討中である。2細胞接着因子による子宮頸癌細胞の遊走性、浸潤性の変化の検討 :migration assay,invasion assayを用いて、fibronectin,laminin の子宮頚癌細胞の遊走能、浸潤能に及ぼす影響を観察した結果、fibronectinおよびlamininの濃度依存性に遊走能、浸潤能共に促進された。fibronectinはchemoattractantとして子宮頸癌細胞に働くことが明かとなった。細胞接着因子中のpeptideであるGRGDSPも同様の作用が認められ、また、あらかじめ腫瘍細胞をGRGDSPに結合させておくことにより、chemoattractantとしてのfibronectinの作用はblockされた。lamininに結合することにより濃度依存性にcollagen type IVの分解作用が増強することから、lamininの子宮頸癌細胞の浸潤能の促進はcollagenase type IVの産生促進を介して行われると考えられる。laminin中のpeptideであるYIGSRも子宮頚癌細胞のcollagen type IVの分解能を増強することからYIGSRはcollagenase type IV産生を制御する外的シグナルの一つであると考えられた。 3ヒト子宮由来fibroblast conditioned mediumによる子宮癌細胞の遊走性、浸潤性の変化の検討:ヒト子宮由来fibroblast細胞株のconditioned mediumの子宮癌細胞の遊走性、浸潤性について検討した結果、3T3 mouse fibroblast conditioned mediumに比較すると弱いながらも、HeLaの浸潤にchemoattractantとして作用し得ることが明かとなった。4 ヒトリンパ節リンパ球の産生因子の子宮癌細胞の増殖、浸潤能に与える影響についての検討 :ヒトリンパ節リンパ球はgamma-interferonの産生を介して、子宮頚癌細胞の細胞増殖を抑制することが明かとなった。現在、遊走性、浸潤性に与える影響について検討中である。
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