研究概要 |
本年度は以下の研究実績を得た。 1.42例の子宮体癌組織でKi-,N,及びH-rasコドン12,13,61及び63の点突然変異の有無について検討した結果、7例(16.7%)でKi-rasコドン12の点突然変異が観察された。 2.同一症例に関し種々の染色体に遺伝子座をもつDNA多型プローブを用いてLOHを調べたところ17pの欠失が有意に観察された(8/42)。LOHを示す8例について残存アリルの変異の有無を調べた結果、3例(臨床進行期4期)で点突然変異が観察された。LOHを示さなかった34例中1例で同様の変異が認められた。点突然変異によりアミノ酸置換或いはストップコドンの形成がなされてした。 3.70例の子宮体癌組織で18番染色体上の遺伝子についてLOHを検討した。解析可能な61例中16例(26%)に欠失を認めた。さらに28例の腫瘍についてDCCmRNAの発現をPT-PCR法で調べた結果、14例(50%)に有意な発現の減弱が観察された。 4.子宮内膜癌HHUA細胞は、Ki-rasコドン12にGGT→GTTの点突然変異を有する。このため変異に相補的な12塩基のアンチセンスオリゴDNA(AS)を作成しホスホロチオエート型に修飾した。ASは塩基配列に特異的な増殖抑制効果を示したが、細胞を完全に死滅させるにはいたらなかった。このためASをがん治療に応用するためにはASの高機能化が必要と思われた。
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