研究概要 |
1. ラット内耳(蝸牛,前庭神経節,内リンパ嚢)を摘出した後,GTC-CsTFA法によりそれぞれの部位のRNAを抽出し、さらに逆転写酵素を用いて相補的DNA(cDNA)に転換した。これらのcDNAをテンプレートとしてPCR(polymerase chain reaction)法により内耳に存在すると考えられるホルモンレセプター,イオンチャンネルの増幅を行った。 2. これまでに蝸牛および内リンパ嚢において、内リンパ液のK^+イオン分泌に関与すると考えられるdelayed activating K^+チャンネルの発現を確認した。蝸牛においては、このK^+チャンネルは、血管条に局在して、内リンパ液再生に重要と考えられた。 3. また内リンパ液のK^+イオン分泌およびNa^+排泄に関与するNa^+-K^+ ATPaseを、液性に制御すると考えられているミネラルコルチコイドレセプターが蝸牛および内リンパ嚢に発現することを確認した。蝸牛においては、K^+チャンネル同様に血管条に局在しており、その生理的意義をさらに検討していく必要がある。
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