研究課題/領域番号 |
05454473
|
研究機関 | 佐賀医科大学 |
研究代表者 |
大野 新治 佐賀医科大学, 医学部, 教授 (60050390)
|
研究分担者 |
南 洋一 佐賀医科大学, 医学部, 助手 (50253604)
原 茂人 佐賀医科大学, 医学部, 助手 (50244017)
|
キーワード | 瞳孔括約筋 / 瞳孔散大筋 / 培養 / 免疫組織化学染色 / α-smooth muscle actin / パッチクランプ法 |
研究概要 |
平成7年度における研究は、そのほとんどが、単一細胞に分離することと、分離に成功した虹彩筋(瞳孔括約筋、瞳孔散大筋)を培養するための研究に費やされた。瞳孔括約筋あるいは散大筋が解剖学的に存在する部も採取すると、(詳細は報告書)、この中には瞳孔筋の他、線維芽細胞、血管内皮細胞が認められる。この中から線維芽細胞はmediumの中にD-valineを入れることで増殖抑制することができた。また血管内皮細胞は細胞数が平滑筋細胞に比較し少なく、培養時には増殖されず、最終的には瞳孔括約筋と散大筋細胞が培養された。培養された両筋細胞は光顕レベルでは形態学的に差を認めなかった。 次に虹彩より解剖学的に括約筋あるいは散大筋と考えられる試料に、混入する組織および括約筋、散大筋の確認を免疫組織化学染色を応用して行った。その結果、括約筋、散大筋及び血管の平滑筋のみがα-smooth muscle actinに染色された。虹彩筋培養に血管の平滑筋が混入される可能性は、当初の分離段階で光顕下に血管は観察されており、その可能性はない。その他、色素上皮細胞、血管内皮細胞、線維芽細胞についても、色素上皮細胞はS-100protein、血管内皮細胞はFactor VIII-related antigenにのみ染色され、また線維芽細胞は今回使用した試薬の全て染色されなかった。括約筋と散大筋の鑑別は今回行った免疫組織化学染色ではできなかった。この鑑別は今回計画した電気生理学的手法に委ねられることになる。 さてパッチクランプ法による研究においては、いまだこれらの筋細胞膜より膜電位が得られた段階で、この電位も不十分であり、現在、このパッチクランプ法による研究を鋭意進めているところである。この研究進捗状況が当初の予定より遅れたのは、細胞の培養などの過程で種々の問題点が生じたためであり、現在、培養により他組織の混入がなく筋細胞表面が平滑で、パッチクランプ電極固定に適した筋細胞が得られていることより、今後の研究の見通しは明るく、本研究を今後も続行することにしている。
|