平成5年度までの実験で電磁刺激により得られる誘発筋電図が短潜時群と長潜時群に分かれる傾向が示されていた。これは少なくとも2ヵ所の中枢を刺激しているものと解釈されたため、実験動物において後頭葉除去前後および上丘レベルの切断前後での誘発筋電図の変化について調べた。後頭葉除去前後では大きな変化は認められなかったが、上丘切断前には存在した長潜時群(15〜25ms)が切断後には消失することが確認された。過去の電気刺激による実験の結果から上丘切断後にも認められた4ms前後の短潜時群は外転神経核から得られた可能性があると考え、上丘切断後の状態で外転神経核を直接電気刺激したところ電磁刺激とほぼ同じ潜時で筋電図が得られた。以上の結果から実験動物における電磁刺激による誘発筋電図で認められる長潜時群の反応は上丘から、短潜時群の反応は外転神経核から得られていると考えられた。続いて平成6年度までの実験と同様に実験動物の頭蓋上で刺激コイルの位置や刺激強度を変化させ、また切断部位により更に潜時の分離同定が可能か否か、得られる誘発筋電図の変化について検討していく必要があると考えられた。
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