研究概要 |
平成6年度の研究に引き続きPorphyromonas gingivalis染色体DNAの制限酵素地図および遺伝子地図の作成を行った。すなわちATCC33277株から抽出した染色体DNAをHind III,EcoR I,Sal IおよびPst Iで完全に切断した後、それぞれリガーゼを用いて自己連結後、Not Iで切断してプラスミドベクターpBluescript IIのNot I部分に挿入して作成したNot Iリンキングプローブを用いてパルスフィールドゲル電気泳動したP. gingivalisDNA断片をサザンハイブリダイゼーションを行った。その結果以下のことが確認された。 1、ATCC株DNAはNot I消化により10断片すなわち、A 690kb,B 375kb,C 360kb,D 320kb,E 280kb,F 260kb,G 180kb,H 60kb,I 40kb,J 30kbに分割され、染色体全体のサイズは2595kbであることが明らかになった。 2、各研究機関より分与を受けたP. gingivalisの各遺伝子について染色体DNA上での局在を明らかにするためにパルスフィールド電気泳動したATCC33277株DNAと非放射性標識した各遺伝子をサザンハイブリダイゼーションしたところ、A断片上に線毛遺伝子(FimA)と53kDa外膜タンパク遺伝子更に血球凝集遺伝子の局在が明らかになった。またB断片上にはGly-ProPeptidase遺伝子、E断片上にスーパーオキサイドジスムターゼ遺伝子(sod)および40kDa外膜タンパク遺伝子が、更にF断片上に血球凝集(HA)活性を示すセリンプロテアーゼ(Ginpain)遺伝子の局在が明らかになった。 今後、クローニングされた種々のP. gingivalisの遺伝子を入手して、その染色体上の位置を明らかにすることによりP. gingivalisの性状の解明に遺伝子学的側面から寄与できるものと思われる。
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