研究課題/領域番号 |
05454495
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
機能系基礎歯科学
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
久保木 芳徳 北海道大学, 歯学部, 教授 (00014001)
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研究分担者 |
滝田 裕子 北海道大学, 歯学部, 教務職員 (30125330)
藤沢 隆一 北海道大学, 歯学部, 助手 (40190029)
水野 守道 北海道大学, 歯学部, 助手 (10125354)
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研究期間 (年度) |
1993 – 1994
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キーワード | BMP / 細胞外マトリックス(ECM) / 担体 / 多孔性アパタイト / 線維性ガラス膜 / 血管阻止構造 / 血管確保構造 / 骨形成 |
研究概要 |
サイトカインの一種である骨形成蛋白質(以下BMP)は、骨以外の皮下あるいは筋肉に適切な担体と共に埋植すると異所性に軟骨及び骨の形成を誘導する点で注目をあつめたが、作用発現において、最も興味深い点の1つは、担体を必須とする点であった。我々はこの点に注目し、従来専ら使用されていた担体、すなわちBMPを抽出後の骨の不溶性マトリックス(以下IBM)以外の担体を追求した結果、いくつかの生体由来物質、合成ヒドロキシアパタイト、ガラス線維がBMP担体として有効であることを見いだした。これらのIBM以外のBMPの担体になりうる物質を、(1)線維状、(2)顆粒状、(3)ブロック状に分けて系統的に追求し、その必要条件を検討した結果、BMP担体は単なる薬剤徐放系ではなくその上で間葉細胞が分化、増殖するための細胞支持体であり、外来性の細胞外マトリックスに他ならないことを明らかにした。そのうち代表的な2つの例を挙げるならば、部分精製BMP(BMPカクテル)と複合してラット皮下に埋植した場合、線維状ガラス膜(FGM)と多孔性顆粒状ヒドロキシアパタイト(PPHAP)が最も興味深いものであった。すなわち、FGMの膜内では、専ら軟骨のみが誘導され、骨形成は膜の表面のみに限られていた。その理由は、保留径1μmのガラス線維膜では未分化間葉細胞は進入出来るが、毛細血管は進入できないため(血管阻止構造)であり、他方PPHAPにおいては軟骨は全く出来ず、気孔の内外に専ら骨のみが誘導されたが、その理由は、PPHAPの個々の顆粒内の連続性空洞(血管確保構造)が存在するためであり、旺盛な血管進入が骨形成を導くものと解釈された。本研究は、マトリックスの立体幾何学的性質が細胞分化を支配する最初の明確な証明であり、今後、組織の再建や人工臓器の開発において不可欠の原理になると考えられる。
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