研究課題/領域番号 |
05454496
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
山田 正 東北大学, 歯学部, 教授 (50005021)
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研究分担者 |
阿部 一彦 東北大学, 歯学部, 助教授 (40151089)
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キーワード | 酸素感受性酵素 / リボヌクレオシド三リン酸還元酵素 / ピルビン酸ギ酸リアーゼ / 歯垢 / 酸産生 / 嫌気条件 / 酵素の活性調節 / 嫌気グローブボックス |
研究概要 |
好気条件下でEscherichia coliはリボヌクレオシド二リン酸還元酵素(R2PR)がDNA合成の基質であるデオキシリボヌクレオチドを供給するのに対して、嫌気条件下ではR2PRではなく、リボヌクレオシド三リン酸還元酵素(R3PR)が働くことが報告されている。これらの酵素活性の測定はこれまで、放射性同位元素を用いて行われてきた。しかし、放射性同位元素を用いた実験を嫌気グローブボックス内で行うことは、法律規制と技術の面から困難が多かった。そこで、代表者らは、ジフェニルアミン法を改良して、微量のデオキシリボヌクレオチドを定量することにより、嫌気グローブボックス内でR3PRの活性測定を可能とすることができた。この方法をもとにEscherichia coliなどを嫌気的に培養して検討したところ、増殖の盛んな指数増殖期にはR3PRの活性が高いのに対し、定常期には活性が低いことがわかった。この酵素がDNA合成の基質を供給するという役割を果たすことを考えるとき、きわめて合目的なことと推察された。さらに口腔細菌について検討し、嫌気条件下においてどのようにDNA合成のための基質であるデオキシリボヌクレオチドが供給されるのかについて検討を広げたい。 ところで、口腔レンサ球菌のピルビン酸ギ酸リアーゼ(PFL)の活性調節にはPFL活性化酵素の他にPFL不活性化酵素が存在していることがわかった。S.sanguisの方がS.mutansに較べて高いPFL不活性化酵素活性を持つことなどもわかり、S.mutansでPFLを活性型に保ちやすく、S.sanguisでは不活性型に変換しやすいという現象が、それぞれの菌のPFL活性化酵素ならびにPFL不活性化酵素の性状に起因することが判明した。 また、R3PRの活性化もPFLの活性化と同様に活性メチオニン、NADPHによって行われることもわかり、これら二つの酸素感受性酵素がかなり類似した機構で活性調節されていることが推定された。
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