研究概要 |
1.歯槽骨吸収実験モデルにおける実験 前年開発した非放射性プローブを用いたin situ hybridizationにより、低Ca食飼育により起きる骨吸収子昂進時における、骨基質蛋白の遺伝子発現に関する検索を行った。骨基質蛋白の発現は骨芽細胞に観察され、その発現は対照群に比べて低Ca食群で強く認められた。海綿骨ではコラーゲン、osteopontinの発現は強く観察されたが、osteocalcin,bone sialoproteinに関しては弱い発現であった。皮質骨ではいずれの骨基質蛋白の発現は強く認められた。また骨吸収にともない出現する破骨細胞にosteopontinの発現が観察できた。以上の結果は低Ca食飼育により起きる骨吸収子昂進時に骨のturn overの上昇が起きることを示すものである。したがって低Ca食飼育による骨吸収の増加にともない、いわゆるcouplingにより骨形成も同時に増加することが明らかにされた。 2.単離破骨細胞を用いた実験 マウス新生児の脛骨より破骨細胞を単離し、共焦点レーザースキャン顕微鏡により生きた細胞の観察を行った。NBD-ceramide,Acridine-orange,DiOC6などの蛍光色素でGolgi装置、ライソゾーム顆粒、ERなどを染色しその変化を経時的に捕えることができた。また象牙質切片上にて培養を行い同様な観察を行うことにより、骨吸収を行っている破骨細胞の細胞内小器官の動態を記録することが可能であった。以上のような共焦点レーザースキャン顕微鏡による観察方法は、生きた破骨細胞の変化を解析する上で有用であることが示された。
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